書評: 2009

2009年12月27日日曜日

成功は一日で捨て去れ 柳井 正 (単行本 - 2009/10/15)


相変わらず、含蓄のある言葉が並んでいた。
前文には厳しい言葉が並んでいる。
「最近は、成功というものを取り違えている日が増えた気がする。本当はたいした成功ではないのに、自分が相当大きなことをやり遂げたような錯覚をしているのだ。これらは決して成功と呼ぶべきものではなく、むしろ成功という名の失敗をしたのではないだろうか。ちょっとした成功ならすぐ捨てるくらいの強い意思が必要だ。一番のお客さまそっちのけで、小さな成功だけで満足してはいけない。」
以下、気に止まった言葉を記述する。
○安定志向という病
 「現場・現物・現実」・・・本田のDNAと同じ言葉である。
 「即断・即決・即実行」
○会社を成長させようと思ったら、「現状満足」では絶対にだめで、現状を否定しつつ変えていかなければならない。そうするには経営者や幹部自身がまず、自分を変えようとしなければならないし、それができなければ会社は変わらない。
○日本企業最大の弱点は経営者
 経営者は組織の一番上にいて自分は仕事の指示だけして、問題がでたらしたの人が泥をかぶる。個々の仕事の目的や本質がわかっていないから、指示や命令も的外れなことが多く、伝えられた部下はしらけてしまう。判断力が乏しく、実務で人を動かして成果を出すということがあまりしていない経営者も多いのではないか。
○売値の決まり方と値引きの考え方
 実務能力の高いMDhodo、早め早めに売変処理をしていく傾向がある。もし、それで粗利益がとれなかったら、売れる商品を追加すればよいからだ。
○SPAの強みは「金の鉱脈」発見
 SPAは圧倒的な売れ筋を発見するまで、何度も何度もサイクルを自社でまわせる。
○成長は捨て去れ
 再強化、再成長の3つの成長エンジン・・・組織開発、立地・業態開発、商品開発
○大型店は販売効率が落ちる
 ユニクロの㎡あたり売り上げ高:88.5万円/年間・㎡(2008年8月期)
                     24.3万円/月・坪
○ドラッカーの名言
 「企業の目的として有効な定義はひとつしかない・すなわち、顧客の創造である。」
 「あらゆるものが、強みによって報酬を手にする。弱みによってではない、したがって、常に最初に問うべきは「われわれの強みは何か」である。」
 

2009年9月6日日曜日

わかりやすいマーケティング戦略 (有斐閣アルマ) (単行本(ソフトカバー))沼上 幹 (著)


平成18年3月20日

書名:マーケティング戦略
著者:沼上 幹
発行所:有斐閣アルマ

序章 イントロダクション
「悪貨は良貨を駆逐する」(グレシャムの法則)
            ↓
「ルーチンの仕事はノンルーチン(創造的)な仕事を駆逐する」(計画のグレシャムの法則)

「戦略とは」⇒自分が将来達成したいと思うあるべき姿を描き、そのあるべき姿を達成するために自分の持っている経営資源(能力)と自分が適応するべき経営環境(周りの状況)とを関連づけた地図と計画(シナリオ)のようなもの
      ⇒市場に関して、市場を中心に捉えて、戦略的に思考すること
       【戦略的に思考するためのスタンス】
①大きく考えること
       ②未来を考えようとすること
       ③論理的に考えること(フィットしているかしていないか)

第Ⅰ部 マーケティング戦略
第1章 マーケティングミックス
【マーケティング・ミックス】
①製品(Product)
その製品が提供している本質的なサービスとその製品に付随している補助的なサービスがある。
【重要な点】
①本質サービスが顧客のニーズにフィットしているか否か
②本質サービスをより魅力的にするように補助的サービスがつくられているか。
○本質サービス
製品を物理的な特徴で捉えずその製品から顧客がどのような満足を引き出そうとしているかを考えることが重要。製品とはそこからさまざまな満足を引き出すことができるサービスの束だと考える必要がある。
○補助的サービス
 ブランド・おまけ・保証・メインテナンスサービスなど
【プロダクトミックス】
   ラインの幅(広い・狭い)とラインの奥行き(深い・浅い)からなる。
   あらゆるカテゴリーを捉えている場合は「フルライン」

②流通チャネル(Place)
 ・商取引の流れ⇒商流
 ・ものの輸送・保管の経路⇒物流・ロジティクス
○小売業と卸売業
 【重要な点】
 ①消費者と「出口」がフィットしているか否か
 ②その最終的な小売業者に達するまでに商売上どのような道筋をたどらせるのか
  ・一般論では最終的な商品を届ける範囲が広がれば広がるほど流通経路も長くなる
○チャネル政策
 閉鎖型チャネル政策
 開放型チャネル政策
○物流システム
 サプライ・チェーン・マネジメント(SCM)

③プロモーション(Promotion)
 企業が顧客に情報を伝達する4つの手段
 ①広告・宣伝
  営業マンは単にモノを売っているだけではなく、企業と顧客との情報のやりとりを担っている考えなければならない。営業マンは行動によって企業イメージを顧客に伝え、顧客のニーズと自社の製品の問題点を企業に持ち帰って整理すると言う重要な機能を果たしている。
 ③広報活動
 ④販売促進
○プッシュとプル
 ・プッシュ戦略
   メーカーの営業マンが1次卸しや2次卸しに対して説得を行ったり、応援を行ったり、販売促進費などを使って様々な資金援助をして自社製品を顧客の側に押していく戦略である
 ・プル戦略
   大規模な広告を行ってまず最終消費者にブランドを認知させ、彼らが小売店に行って指名買いをするように仕向ける方法である。
④価格(Price)
 価格を決める際に目配りをすべき要因
 ①その製品のコスト
  規模の経済性・経験効果等留意
 ②競争相手が設定している価格
 ③顧客の財布の具合

【価格を安くしても良い場合】
①他企業が低価格に追随できないか
②価格を低くすることで市場が拡大して業界全体の市場規模が大きくなるか

○マーケティングミックス
 4Pのそれぞれが互いにフィットしている必要がある。
 ・ヨード卵「光」のケース
  「プロダクト」食品と薬の中間
  「プライス」高めの固定価格
  「プレイス」閉鎖型流通チャネル・・・商店街の八百屋さん
  「プロモーション」説明型(八百屋さん)プッシュ戦略と広報重視のプル戦略

 ・ルイヴィトンのケース
  「プロダクト」丈夫で長持ちする機能性バック
  「プライス」高いが地域毎に若干上下する。
  「プレイス」閉鎖型流通チャネル・・・直営または正規代理店
  「プロモーション」広告掲載はしない。ただし偽ブランドに対するしばしば批判広告は出す。店舗においても製品が直接手に取れないようになっている。
 
第2章 ターゲット市場の選定
 ○セグメントとセグメンテーション
  ・セグメンテーション(市場細分化)
マーケティングミックスに対して類似の反応を示すような同質的な市場部分に分解すること
   ⇒ある程度同質的なセグメントに分けることでより効率的効果的に働きかけることができるようになる。
 
 ・セグメンテーションの基準(軸とか次元)
   【地理的軸】
エリアマーケティングには次の2つの方法があるがどちらもかかしてはならない。
①その地域に住んでみて、その地域の内部者の視点を獲得する方法
②その地域の様々な特徴を統計などを用いて鳥瞰的に大きく捉える方法
【人口統計的(デモグラフィック)な軸】
 国勢調査で質問される項目
【心理的軸】【行動面の軸】
両者は区別しにくいが、前者が人間の本質的なタイプを示し、後者がそのタイプが行動として表れたものと考える。

○軸の組み合わせ
 どの地域(Where)にいる誰(for Whom)のどのようなニーズ(to meet What)を満たすのかを決めて初めて特定の市場セグメントを定義したことになる。

○セグメンテーションのチェックポイント
 ①セグメント内が同質
   セグメント内の同質性が高ければ、特定のマーケティングミックスをつくるだけで効率的に潜在的な顧客グループに働きかけることができる。
 ②セグメント間が異質
 ③操作性
   そのセグメントの市場規模が予想できるかどうか。そのセグメンテーションを行うことでマーケティングミックスの作り方に対して具体的な示唆が得られるか否かということ。
 ④セグメントの規模
 
○3つのアプローチ
 ①単一ターゲットアプローチ
   単一の市場セグメントのみを対象にして、その市場セグメントにフィットしたマーケティング・ミックスを構築する。⇒ニッチャーの戦略
 ②複数ターゲットアプローチ
複数の市場セグメントを対象にして、それらの市場セグメントにフィットしたマーケティング・ミックスを構築する。すべてのセグメントをカバーする場合を特にフル・カバレッジと呼ぶ。フルカバレッジする製品ラインはフルラインとなる。⇒リーダーの戦略
 ③結合ターゲットアプローチ
   一旦細分化をおこなった市場セグメントをいくつか同時に受け入れられるような「最大公約数的」なマーケティング・ミックスを構築するものである。

○ターゲットセグメントと4つのPのフィット
 マーケティングの基本戦略⇒ターゲットセグメントにフィットするような4つのP(マーケティング・ミックス)を創りあげること。
【手順:下記①~③を繰り返す】
①セグメンテーション:売りたい製品のイメージを念頭においてセグメンテーションを行う
②ターゲット市場の選定:多様なセグメントの中からターゲットセグメントを選び出す
③マーケティングミックスの構築:選ばれたセグメントにフィットするようなマーケティングミックスを構成する。
・富士写真フィルム「チェキ」のケース
 ①ターゲット市場:女子高生から25歳くらいまでの女性
  プリクラの大ヒット⇒「画像コミュニケーションのニーズ」がある。
  日本国内(地理)・15歳~25歳(人口統計)・女性(人口統計)・画像コミュニケーション手段を多用する(行動)
 ②マーケティングミックス
  ・プロダクト:小型で持ち運びがしやすい、ネーミングが女子高生に愛される
  ・プライス:本体価格1万円、フィルムが10枚入りで700円
        プリクラ(1回300円)を意識し、割安感が出るよう工夫
  ・プロモーション:イベントの実施⇒口コミと歩行者へのアピール
  ・プレイス:当初(プッシュ戦略)⇒通常のカメラ屋 
後(プル戦略)⇒スーパーやコンビニ(開放型チャネル政策)
   
第3章 製品ライフサイクル
○製品ライフサイクルの段階的特長 

導入期
成長期
成熟期
衰退期
売上高
低水準
急速上昇
緩慢な上昇or下降
下降
利益
僅少もしくはマイナス
最高水準
下降
低水準orゼロ
顧客
イノベーター/マニア
早期大衆追随者
後期大衆追随者
遅期追随者
競争
ほとんどなし
増加
企業数多数
減少
戦         略

上澄み価格戦略
浸透価格戦略

戦略の  焦点
市場の拡大
市場の拡大
自社ブランドの 浸透
シェアの防衛など
撤退のタイミングなど
戦略の  強調点
製品の認知
低価格化
ブランド選好
マーケットの地位別に異なる
選択肢多数
マーケティングミックス(4P‘s)
プロダクト
本質  サービス
本質  サービス
補助的サービス
マーケットの地位別に異なる
①撤退:タイミング
②展開:製品改良・用途拡大・市場開拓
③存続:残存者利益
プレイス
閉鎖型
開放型
開放型
プロモーション
プッシュ
プル
プル
プライス
高水準
低水準
低下

①導入期
 戦略的な課題:市場の拡大⇒普及を妨げているボトルネックを明らかにし、それを除去する。
 購買行動モデル:アイドマ(AIDMA)モデル
 Attention(注意)⇒Interest(関心)⇒Desire(欲望)⇒Memory(記憶)⇒Action(行動)
 ・上澄み価格政策:初期のイノベーター(マニア)を相手に製品の開発費や初期のプロモーション費用など、さまざまな導入期のコストを回収してしまるような価格政策。
 ・浸透価格政策:思い切って原価われの価格を設定し、一気に市場を立ち上げるような価格政策
②成長期
 競争相手への対応の仕方が最重要ポイント⇒自社ブランドを選好するように仕向ける
 閉鎖型チャネルから開放型チャネル政策へ
 プロモーションもプッシュ型からプル型へ
 
③成熟期
 通常は10%くらいの成長率のところが高成長と緩慢な成長の分かれ目である。
 自分の獲得した顧客は離れにくいように、相手の顧客はできるだけ浮気させるように
 ⇒ブランドロイヤルティを確立した上で他社の顧客を奪う。
 成熟期のマーケティング戦略は市場における地位によって違う。

④衰退期
 撤退・展開・存続の3つの選択肢がある
 ・撤退:タイミングのとり方が難しい
⇒8ミリの例:富士フィルムはかなり早いタイミングで撤退したが、後に残されたエルモやチノンなどは業績が大幅悪化。
 ・展開:技術革新か海外市場など新規市場開拓
     一眼レフカメラ:ミノルタのα7000のオートフォーカスによって減少傾向にあった市場が一時的に上向いた。
     ホンダの「スーパーカブ」:日本市場からインドネシアなどのアジア圏を市場開拓
 ・残存者利益:みんなが残ると悲惨
        自社のみが残ると「おいしい」が、多くの会社が残存者利益を求めて撤退しないことを決めれば、悲惨な競争になりみなが儲からない。
【ライフサイクルの注意点】
①ライフサイクルは変則的である:S字型曲線をそのまま当てはめるだけの作業にはくれぐれも注意が必要。
②自己成就的予言が成り立つ製品ライフサイクル

○カップヌードルのケース
        ・「熱いお湯さえあればいつでもどこでも食べられる」新しい本質的サービスを提供する製品として登場
        ・1個100円の高価格
        ・プル型プロモーションによる開放型チャネル政策
        ・アメリカでは、プッシュ型
       ⇒個々の製品のライフサイクルが長くなるか短くなるか。これはあらかじめ決められたものではなく、マーケティングミックス戦略によってつくりだせるものである。

        
第4章 市場地位別のマーケティング戦略
 市場地位別のマーケティング戦略は、主として成長後半から成熟期を通じてマーケティング戦略を考える上で有効な指針を提供する。

○市場地位別の分類法(コトラーの分類法)
 シェア1位か? ⇒YES リーダー
  ↓ NO
攻撃的か? ⇒YES チャレンジャー
  ↓ NO
独自の生存領域を持っているか? ⇒YES ニッチャー
  ↓ NO
フォロワー

○トップシェアの魅力 ⇒ 市場シェアが大きいほど、企業にはさまざまなメリットが生じる
 ①シェルフスペースの確保
 ②生産コストのメリット
  ・規模の経済性
  ・経験効果:累積生産量が2倍になるごとに単位当たりのコストが一定割合で低下する。
 ③トップシェア3つの留意点
  ・シェア1位だから嫌いと言う人が必ずいる。⇒比較的簡単に流通させることができる地域だけを対象にしている方が利潤獲得という点では望ましい。
  ・シェアのトップメリットが永続しない場合もある。⇒技術の交代期には注意が必要
(イノベーションのジレンマ)
  ・規模の経済や経験効果を見るときには同時にシナジー効果を調べる必要がある。

○市場地位別マーケティング戦略の定石のまとめ
戦略の項目/市場地位
リーダー
チャレンジャー
ニッチャー
フォロワー
目標
・業界最大の利潤
・プレステージの維持
・トップシェアの奪取
・高利益率
・マイペースの成長
・安定した売上
・存続
・したたかな成長
戦略の基本方針
市場全体の拡大&スキをつくらない
差別化
先手必勝
生存空間全体の差別化
リーダー製品の安価な代替品を供給する
ターゲット市場の選択
フルカバレッジ
①セミ・フルカバレッジ&決定的セグメントに焦点
②セミ・フルカバレッジ&集中&機動的展開
①速すぎない成長セグメントの選択
②狭いセグメントへの集中
経済性セグメント
4P’s構築の基本方針
・イノベーション
・同質化
模倣されにくい差別化
狭いターゲットへのファイン・チューニング
徹底的なコストダウン
4P’sの定石




プロダクト
(製品ライン)
フルライン
セミ・フルライン
(主戦場で深いライン)
狭く深いライン
浅いライン
プロダクト
(本質サービス)
業界平均より高品位

独自性
トップブランドのワンランク落ち
プライス
若干高め
4つのPのいずれか、あるいはすべてで差別化
高め
低め
プロモーション
積極的

ターゲット・媒体を絞り込む
抑える
プレイス
より広いチャンネンル(開放型)

より狭いチャネル
低価格志向の流通チャネルに集中




○リーダーの戦略 ⇒ トップシェアと最大利潤の確保
 
・市場全体の拡大の方法
  ①新しいユーザーを獲得する。
  ②新しい用途を見つけ出す。
  ③1回当たりの使用量を増やす。
 ・シェア防衛の方法
  ①直接対決:マクドナルド対ロッテリアの例 ⇒ 利益体質を悪化させる場合が多いためいい手だとはいえない。
  ②嫌がらせ:納入業者に対するパワーハラスメント等
  ③スキをつくらない:フルカバレッジ、同質化
            ライバル製品をスピーディーに追いかけて同質化することができれば、結局リーダーが有利になる。
  ④イノベーション
   新製品の導入、新しい流通チャネルの開拓、ユニークなプロモーション等
 ・シェア拡大
  
○チャレンジャーの戦略 ⇒ 差別化によってリーダーを攻撃
 差別化:できるだけ同質化されにくいものでなければならない。
 ①リーダーのもっていない経営資源を利用する。
 ②リーダーが同質化を行えない内部事情を利用する。
  (例)資生堂と花王
ジョンソン&ジョンソンとライオン

(基本方針)
 ①主戦場を決めて資源の集中投入をする。(決定的なセグメントに集中する)
 ②ひとつのセグメントを次々と個別撃破しながら多数のセグメントで順次支配権を握っていく。
○ニッチャーの戦略 ⇒ 広い視野を持ちながら 単一セグメントに経営資源のすべてを集中投入する
 (例)モスフードサービスの例
    ・駅前ではない2等立地に進出
    ・みそ、しょうゆをベースとした日本的な味付け
    ・業界全体の低価格競争には追随せず
   日本ルナの例
 
○フォロワーの戦略 ⇒ 競争を回避し、ある程度利潤をあげながら経営資源を確保していく。
 経済性セグメント:リーダーやチャレンジャーが魅力を感じない、価格に敏感な市場を選択

○アサヒビールと他ビール会社の例(ドライ戦争)
 キリンの戦略:徹底的な同質化戦略をとるべきだった?

第Ⅱ部 より広い戦略的視点を求めて
第5章 業界の構造分析
〇ポーターの5つの競争要因
 業界の美味しさ度の見分け方
(下記の項目に当てはまるものが多い場合は競争が厳しく美味しさ度は低い)
・ 既存企業間の敵対関係
同業者が多い、業界の成長が遅い、固定コスト、在庫コストが高い、製品差別化がない、買い手をスイッチする費用が少ない、供給能力を微増させられない、競争業者間の戦略が多様である、成功すれば成果が大きい、退出障壁が高い
・新規参入の脅威 ⇒新規参入が起こらないよう、ある程度製品価格を低くしておくなどの防衛策をとらないといけない。
     既存企業による規模の経済の影響が少ない、製品の差別化の程度が低い、巨額の投資が必要とされない、供給業者をスイッチするコストが低い、流通チャネルを確保しやすい、規模とは無関係の不利はない、政府の政策(許認可、補助金)がない
・ 代替製品の脅威
   コストパフォーマンスが急速に向上している、代替品業界の利益水準が高い
・ 買い手の競争力
   買い手が集中している、自社製品が買い手のコスト要因となる、自社製品が標準品である、自社から他へスイッチするコストが低い、買い手の収益が低くコスト圧力が高い、供給される商品が重要ではない、買い手が充分な情報を持つ
・ 売り手の競争力
   寡占が進んでいる、代替品が市存在しない、売り手にとって重要な業界ではない、売り手の製品は重要である、売り手の製品の代替は見つけにくい、後方統合をする意思と能力がある

第6章 全社戦略
第7章 事業とドメインの定義
終章  戦略的思考に向かって

事業システム戦略―事業の仕組みと競争優位 (有斐閣アルマ) (単行本) 加護野 忠男 (著), 井上 達彦 (著)


平成16年5月12日
[事業システム戦略]
◎序章
〇差別化・・・2つの差別化
  ・製品・サービスによる差別化:目立つ、わかり易い、華々しい成功、模倣しやすい、持続時間が短い
  ・事業の仕組みの差別化:目立たない、分かり難い、目立たない成功、模倣しにくい、持続する
 〇事業システム博物学
・ 事業システムの違い
-百貨店とスーパー:百貨店-返品 スーパー-売り切り
    -衣料品の例-ベネトン、日本編物:生成り生産後染め売れ筋の色を見極めて染色
-ファミリ-レストラン-セントラルキッチン、アルバイト・パートの利用
-住居-弓場建設:土地所有者にマンションを建設してもらう。
    安いマンション建設-コンクリートの建物を通常の2割増しでつくる工法の開発(通常5割増し)
      そのためには人件費の削減が必要-例:タイルを切断することなしにタイルの大きさにトイレをあわせる
    -引越しサービス-アート引越しセンター:電話帳の一番上に来るように「アート」とした(もとは寺田運送)
                       顧客である主婦の立場に立ったきめ細かいサービス
                       -荷造りサービス、運送中の殺虫サービス
                        最近では家具インテリアのカタログ販売
-エアコンなどは引越しのその日に取り付けができる
・TSUTAYA-POSにより販売ピークを逃さない
         本部が品揃えと棚割りを決定
         セントラルバイイング
・ 事業システムの静かな革命
   事業システム革命の背景
・既存の事業システムの寿命、成熟化
・情報通信技術の進化
・新しい事業システムの成立が他の事業システムに変化をもたらす
      -宅配便という小口高速輸送による部品や最終製品をめぐる事業システムの革命
・新しい事業システムをつくらないと顧客へ価値が提供できない
      -ゲーム業界:おもしろいソフトを継続的に供給する仕組み
・ 情報ネットワークの意味:情報ネットワーク技術を使いこなしこれまで提供できなかった事業システムを競争相手が容易に模倣できないものとして提供する事が重要

◎1章:事業システムの設計パラメーター
 〇基本設計
・ 事業の幅と深さの決定
   事業の幅:自社が手がける事業分野の選択
        松下-家電製品を網羅
        ソニー-ホームエレクトロニクス
   事業の深さ:職能(開発、調達、製造、販売)部分の選択
・ 社外との間にどのような関係を築くか
   社外でその都最も良い条件を出してくれた相手と取引-市場取引
   社内の一部門で活動を行い社内で取引をする-社内取引
 〇事業の仕組みの詳細決定
・ 誰がどの仕事を分担するか
・ 人々を真剣に働かせるようにするためのインセンティブ・システムの設計
・ 仕事の整合化のための情報の流れの設計
・ 仕事の遂行に必要な金の流れの設計
 〇事業システムの評価基準
・ 顧客にとって大きな価値があるかどうか-有効性
・ 類似の価値を提供する他のシステムと比べ効率が良いか-効率性
・ 競争相手にどれくらい模倣が難しいか-模倣性
・ 長期にわたり持続できるか-持続性
・ 発展の可能性をどれくらい持っているか-発展性

◎2章:事業システムの設計思想
  〇事業コンセプト
   「どのような顧客に」「どのような価値を」「いかに提供するか」
  〇コンセプトを設計するための地図
戦略的3C
・顧客(Customer)への価値
・競争業者(Competitor)との差別化
・自社(Corporation)の技術、資源
  (・自社を補完する業者(Complementor)を合わせれば4C)
〇ポーターの5つの競争要因
 業界の美味しさ度の見分け方
(下記の項目に当てはまるものが多い場合は競争が厳しく美味しさ度は低い)
・ 既存企業間の敵対関係
同業者が多い、業界の成長が遅い、固定コスト、在庫コストが高い、製品差別化がない、買い手をスイッチする費用が少ない、供給能力を微増させられない、競争業者間の戦略が多様である、成功すれば成果が大きい、退出障壁が高い
・ 新規参入の脅威
     既存企業による規模の経済の影響が少ない、製品の差別化の程度が低い、巨額の投資が必要とされない、供給業者をスイッチするコストが低い、流通チャネルを確保しやすい、規模とは無関係の不利はない、政府の政策(許認可、補助金)がない
・ 代替製品の脅威
   コストパフォーマンスが急速に向上している、代替品業界の利益水準が高い
・ 買い手の競争力
   買い手が集中している、自社製品が買い手のコスト要因となる、自社製品が標準品である、自社から他へスイッチするコストが低い、買い手の収益が低くコスト圧力が高い、供給される商品が重要ではない、買い手が充分な情報を持つ
・ 売り手の競争力
   寡占が進んでいる、代替品が市存在しない、売り手にとって重要な業界ではない、売り手の製品は重要である、売り手の製品の代替は見つけにくい、後方統合をする意思と能力がある
 〇VRIO分析
・ 資源の価値(Value)
その資源・能力があれば、事業機会を逃さず、脅威にうまく対応できるのか
・ 希少性(Rarity)
競争相手のうち何社が、その価値ある資源・能力を既に保有しているのか
・ 模倣可能性(Imitability)
その資源を持ってない企業がその資源を獲得・開発しようとするとコスト面で不利が生じるのか
・ 組織(Organizations)
資源・能力を充分に引き出し、活用するように企業は組織されているのか
 〇事業コンセプトの実例
・ アスクル
顧客「誰に」:SOHO事業主→大企業という潜在顧客を掘り起こす
価値「何を」:翌日配送→大企業の間接費削減という価値を派生させる
工夫「いかに」:既存の販売チャンネル(文具店)の利用・オリジナル商品の開発
コンセプトと設計思想:SOHOの事業主を対象に、翌日配送というサービスを宅配便の物流ネットワークを前提に、既存の販売チャンネルの長所を生かしながら提供する事
基本原理:受注機能/販売機能/代金回収機能(リスク負担)の分解→アンバンドリングとリバンドリング
・ (伝統的な)スーパーマーケット
顧客「誰に」:価格に敏感な人=家計をやりくりする主婦の店
価値「何を」:良い品をドンドン安く=特売をかけてついで買いを起こさす
工夫「いかに」:セントラルバイイング=店舗を担保にして直営店を増やし売上げ面積を拡大する。その購買力をいかして本部が一括して商品を安くいれる。
コンセプトと設計思想:並外れた購買力を背景に、安く仕入れて安く提供すること
基本原理:規模の経済性=一括購買
・ コンビニ
顧客「誰に」:学生や単身生活者など=時間を問わず便利さを求める人々
価値「何を」:ライフ・コンビニエンス=必要な時に必要なものがすぐ手に入る
工夫「いかに」:高回転の仕組み=POSシステム、共同配送、ドミナント方式、地域の資本と労働力の利用=フランチャイズシステム、仮説検証支援システム
コンセプトと設計思想:ライフコンビニエンスを実現する店(30坪のスペースに3000品目を品揃え)を一定の密度で出店し、高回転の商品補充システムによって、必要な時に筆よなものが手に入るという価値を提供する
基本原理:速度の経済性(高速回転の仕組み)、外部化の経済性(フランチャイズ)、範囲の経済性(店舗網の多重利用)

〇事業コンセプトを設計するために
・ 顧客に注目する
進んだ要求を持っている顧客=リードユーザー
リードユーザーは平均7年も早く要求に気づいている(MITの研究)
自動車のアンチロックブレーキ:航空機メーカーの雨の中で時速200KMで走っていても滑らずに止まるブレーキが欲しいと言うニーズから生まれた
・ リードユーザー間のインタラクション
松下電器のレッツノート:パソコン通信によるフォーラムの声を自社の改善や開発に生かした先駆的な事例
・ リードユーザーの声を取り込む仕組む(=ユーザー起点型事業システム)
開発の実績では、既存の大企業にとっては自ら推進するほどの市場規模に達しない事が多い。
プチ袋(携帯用の女性の生理用品入れ):30代女性の提案により蝶理が商品化の権利を獲得し、ヒット作となった。携帯用の女性の生理用品入れ
・ 優れた仕組みの取り込み
ワールド:コンビニエンスストア、レンタルビデオチェーンのCCCの仕組みを取り入れて新しい事業システムを構築した
     業務サイクルを四半期から週単位へ(ベネトンやギャップも同様の考え方)
     店頭での売れ行きを逐次把握する事により、売れる商品をリアルタイムで分析しどの商品を打ち切るか追加して生産すべきかを検討する。(セブンイレブンの仮説検証のサイクルの考得方)
     成功の要因分析を行いそれらを組み合わせ新しい別の企画を行なうことがワールドの独自性を持たらしている。→ある色の素材が支持されているとわかれば、今度は別の素材を別のデザインの服にして市場に投入する。これらの作業を週単位で行なう(この作業のベースはカテゴリーマネージメントである。海外のある下着メーカーの手法を洗練して培ったもの)
     シーズンのピークにはヒット作が必ず店頭にあるように計画を組む(ピークにあわせるというのはTYUTAYAのコンセプトに由来)
・ 自社の資源に注目する
一点集中:日東電工:粘着テープ周辺に特化→第3章参照
 深い能力(技術ノウハウ)を蓄積
仕組みとして最先端の方法を探す→第5章
・ 事業コンセプトのリファイン
3つのC(顧客、競争相手、自社)について自問自答を繰り返しながら良い環境ですぐれた事業システムを構築しなければならない
・ 事業の定義の必要性
JR東海:鉄道業→輸送業:航空会社が競争相手に浮かんでくる
ヤマハ→楽器の製造→教育や娯楽:塾やファミコンが競争相手として浮かんでくる
事業コンセプトは再定義していくもの
      
◎3章:事業システムの設計原理
    基本原理:規模の経済、速度の経済、範囲の経済、集中化と外部化の経済
 〇規模の経済
・ 規模の経済の源泉
生産でのメリット:固定費を分散させる事ができる
         売上げ規模の割りに少ない在庫で対応できる
         投資規模を上回る製造能力を作りやすい
購買でのメリット:大口購買によるコストダウン
・ 規模の経済の問題
ある点を境に規模の不経済が生じる。組織が大きくなることによる管理コストの増大等
たくさんつくってたくさん売ることの難しさ―不良在庫の発生等
 〇範囲の経済
   情報やノウハウを手に入れるために投資をし、そこから発生する固定費を様々な製品やサービスに分散して回収
  シャネル:香水からそのブランド力によりバックや衣類などに展開
アートコーポレーション:引越し直後に必要になるものを販売(エアコン等)
丸井:消費者金融に進出―顧客が何を買っているかという異質な情報を利用できるため事故率が低い
宅配便:本の販売、通信販売の代金回収
・ 組み合わせがもたらす価値(メリット)
組み合わせによって顧客価値を高めることができる
ロジスティック・システムの効率的な利用を図ることができる
情報や知識の多重利用ができる
 (情報の性質)自然に蓄積される
        何度も使える
        同じ情報を集めても意味が無く、異質な情報から価値が見出される
異質な情報を総合する事によって判断の質を高める事ができる
 〇速度の経済
  スピードをあげることによって得られる便益の総称
・ スピードのメリット
顧客価値を向上させることができる
 スピードそのものが顧客価値を高める
アスクル:翌日配送サービス
フェデラルエクスプレスやヤマト:スピードで顧客価値を高めている
投資効率を向上させることができる
 情報を利用して在庫回転率を高めるという効果
  ファルマ:少ない在庫で売れ筋商品をうまく回転
売れ残りロスを削減することができる
  売れ残り商品を少なくするためにスピーディーに配送するという事業システムを構築
商品転換が容易である
 商品実験を行ないやすい
 新商品の導入が容易である
 〇集中化と外部化の経済
・ 集中化のメリット
 自力で生きていかなければならないという緊張感が生みだされる
 独自能力(コンピタンス)を確立し、強化する事ができる
 村田製作所:チタン酸バリウムをベースにしたセラミックコンデンサー周辺に事業を集中
 厳しい要求をもった顧客から情報を自然に集めることができる
 明確な事業コンセプトを共有し、それにこだわることができる
 仕事のスピードを高める事ができる
・ 外部化のメリット(集中化と表裏一体の関係)
 市場原理をうまく使うことができる
 専門家の力を利用することができる
 企業の伸縮自在性を高めることができる
仕事をする人の意欲を高める事ができる
・ 集中化と外部化の問題
 集中化の弱点
急激な構造変化に対し弱い→多角化戦略
    CDの普及によるレコード針の存在
リスク回避:環境を注意深く見守る
        集中化をしながら狭い範囲で広さを持たせる。キーエンスや日東電工
 顧客が限定される
  限定された顧客に依存すると自分たちのコンセプトと合わない仕事までさせられる
  ヤマト運輸の三越百貨店の例
  キーエンスは取引先が売上高の10%を超えないようにしている
 〇基本原理の歴史的移り変わり
  低コストから柔軟性へ(スケールメリットからフレキシビリティへ)
   コンビニの棚はこれまでにない速度で入れ替わっている
   ファッショントレンドも週単位で見なければ予想できない
   IT関連の電子部品や半導体にしても何をどれだけ生産すればいいか見極めは難しい
  →対策:外部化をすすめ柔軟性を保つ(規模の経済から外部化の経済へ)
       例:派遣社員の活用
      スピーディに対応することにより長期の予測を不要にする(規模の経済から速度の経済へ)
       例:PCメーカ―のはラインを廃止しセル生産を採用(旧型商品が滞留するのを防ぐため)
  硬い統合から柔らかな調整へ
   硬い統合とは、自社の担当範囲を広げて内部化すること
   柔らかな調整とは、自社の担当範囲を絞り込んで外部の会社やグループ会社を利用すること
  
◎4章:事業システムの理論的枠組み
 〇事業システムの制御
  内からの制御:性善説に立つX理論→アメとムチを用い外からきちっと制御し管理した方がいい
   人間:仕事が嫌い 命令や処罰がないと仕事ができない 野心が無く責任を持ちたがらない
  外からの制御:性悪説に立つY理論→内発的な動機付けを促したほうがいい
   人間:仕事と遊びは同じくらい大切 自分でたてた目標には積極的に取り組む 報酬があれば目標に向かって努力を惜しまず 条件次第で進んで責任をとろうとする
  操作性の高い要因に対する外からの制御→操作性の低い要因に対するうちからの制御
 〇事業システムの分析の方法
  社会学的方法:人や社会の問題としてとらえるための方法
  自然学的方法:客観的にデータを収集して解析する方法
  事業システムの骨組みの設計(社会学的方法)→肉付けの設計(自然学的方法)
 〇事業システムの4つのアプローチ 

社会学的方法
自然学的方法
外からの制御
経済学的制度分析
・ 取引コスト
・ 比較制度分析
工学的分析
・ 活動依存性分析
・ ロジスティックス分析
内からの制御
社会学的制度分析
・ 経営理念
・ 組織文化
認知心理学的分析
・ 情報処理
・ 意味の発見
・ 経済学的制度分析
 制度:ゲームのルール(独占禁止法や委託販売返品制度等)
 ルール:契約に代表されるフォーマルなものと社会規範に代表されるインフォーマルなものがある
 取引コストアプローチ:取引コストを算定すればどこまで内部化すればいいか一つの答えが出せる
 比較制度分析:多様な仕組みレベルでの差別化を実現するメカニズムを説明するのに役立つ
・ 社会学的制度分析
 自己組織的にルールがつくられる制度化のプロセス
  電車の中で若者が高齢者に席を譲る例
   若者が「譲り」 高齢者が「お礼を言う」これは社会的マナー
 上記のような社会的マナーなどインフォーマルルールを行動規範や慣行として具現化されたものが社会的制度である。
セコム:現状打破、独自性
エクセレントカンパニー(ピーターズとウォーターマン)では強い文化を持った企業が好業績をあげていると言う主張がある
組織文化:マネージメントしにくい=操作性が低い
・ 内からの制御の長所
 外からの制御ではなしえない制御を実現:自分たちが自発的に受け止めて作ったルールであるから
 制御の柔軟性:原則を柔軟に解釈し適切に行動する
・ 社会工学的制度設計
ポーターの活動システムのマッピング→競争が穏かでしゅうえきをあげやすいポジションをとることが戦略の本質
事業システムを活動部分を要素として切り分けモノのように客体化させて分析する手法
    設計構造マトリックス
     行と列にそれぞれ諸活動を位置付け相互に依存している部分に×を付けるもの
     →相互の依存性をいかに切り離し、モジュール化していくか(分業のためのルール作り)
・ 認知心理学的制度設計
認知心理学とは、情報処理アプローチに基いて人間の認知過程や知識構造について研究する、モデル志向的な実験心理学
 〇問題解決のための設計手順
  外からの制御→内からの制御 全体における関係→個別の要素 という流れで事業システムを設計
  コンセプト作り→事業システムの骨格→肉付け→実践
・ 事業の基本についての分析
コンセプト作り「誰に・何を・いかに提供するか」:自社の資源と能力を確かめる必要がある
                       マーケティング論 資源ベース戦略論
    事業の定義→誰が競争相手かが決まる:事業ドメイン論やポーターの戦略論
    収益の構造:規模の経済、範囲の経済 速度の経済 集中化外部化の経済のうちどの経済を追求すべきか
・ 事業システムの骨組みの分析
自社の担当範囲の決定→範囲の経済ならば事業範囲を広げ、速度の経済なら深さをとり、集中化・外部化の経済なら幅も深さも狭める:取引コストアプローチ モジュール化
・ 事業システムの肉付けの設計
活動システムや構造的マトリックスを検討
インセンティブについてはフランチャイズ制
情報については実験計画法
モノ・カネについては掛け算足算化
・ 事業システムを実際に構築する行程表
事業システムを実行に移す

◎5章:事業システムの経済分析
 〇取引コストアプローチ:外部との取引に関るコストが問題となる
   取引コスト
・ 取引先を探すのにかかる探索費用
・ お互いに情報交換して取引を成立させるための交渉費用
・ 合意したとおりに取引が行なわれたかチェックする監視費用
・ 関係特殊的な投資に由来する費用
 取引コストが高ければ「内部」 取引コストが安ければ「外部」 またはその「中間的組織」
  内部化のデメリット
・ 十分なスケールメリットを追求しにくくなる
・ 内部化した部門が十分な知識を蓄えられず最適なサービスを受けられないかもしれない
・ 組織内の一部門にすることによって管理コストが高くなる
・ 取引が安定しすぎて競争原理が働かなくなる
解決例
・コンビニエンスストア
 ベンダ―を2社年競争させる(二社調達)⇔スケールメリットを犠牲
・取引の容の実際
社内取引
石川播磨島工業(技能者の内部化):ジェットエンジンの開発の鍵は高精度化と軽量化
         内部に職人のピラミッドをつくりそのデータをNC機(数値制御機)に数値化する
市場取引
中間的なかたち
松下電器:社内から部品を調達するが「忌避宣言権」があり、社外へ取引を切り替えることができる
芸者の置屋制度:料亭に属してしまうと芸を磨こうとする真剣さがなくなるため置屋に所属
相撲の部屋制度も内部の競争制度を取り入れている
 〇ゲームアプローチ
  価値の創造と分配にかかわるもの
・ 関係の継続性
囚人のジレンマ→繰り返しゲームになるとしっぺがえし戦略が有効
   継続関係のメリット
    相手を裏切ろうとするインセンティブが生じにくい
    信頼関係をきづきやすい
    お互いを良く知ることになる
・ 価値の創造と配分
 〇比較制度分析アプローチ
  システム設計の補完性と多様性にかかわるもの
・ 一つのシステム内の補完性とシステム戦略の補完性を前提
・ システムが安定するための均衡が複数あることが想定されとおりシステムの多様性を認めている
・ システムの進化は過去の経験によって制約されており経路依存的であると考える
・ ある均衡から別の均衡への移行は革命的におこなわれるより暫定的に行なわれるべきだと考える
・ 制度の補完性
   「オープン且つ密接な関係」「クローズ且つ多数の競争」はともに望ましい関係 
・ システムの多様性
アパレル業界:ユニクロ―規模の経済性 ワールド―速度の経済性
家庭用ゲーム機器業界:任天堂―ソフト会社を厳しく選定し内容を管理しながら開発
           ソニー―幅広くソフト会社に呼びかけ思い切ったソフト開発を奨励する

◎6章:事業システムの社会的分析
 〇理念の役割
  例:松下電器:水道哲学―万人に水のごとく安く豊富に製品を供給する
         産業報国―金儲けのためではなく社会生活の改善を目指し世界文化の発展に寄与すべき
 共存共栄―顧客はもちろん競争相手に迷惑をかけてはならない
・ 人々を動機付け理念的なインセンティブを与える
・ 判断基準を与える
・ コミュニケーションのベースとなる
 ・インクスの理念
  金型メーカーであるインクスの理念
・ 日本の金型産業に対する貢献
・ 労働市場における雇用の確保
携帯電話の金型は通常45日であるがインクスは5日
(理由)3次元CADの導入で技能者の養成期間が素人でできるようになった
    →人事システムがユニーク 80%は3ヶ月で辞めるが問題の無い仕組み作り
     コアメンバーは情報システム設計・開発や経営管理に専念
・ 収益性と社会性の両立
コープ神戸:収益性と社会性の両立をあきらめ、社会性が求められる時は社会性に関る理念を上手く引き出し、収益性が求められるときはそちらにシフトすることで成功
 〇組織文化
  
◎ 7章
◎ 8章
◎ 9章
◎ 10章

MBA経営戦略 (単行本) グロービスマネジメントインスティテュート (編集)


◎→〇→●→・ 項目については左記の順で示す。
平成16年5月5日
[MBA経営戦略(グロービス編)]

◎戦略策定の要件
 〇全社戦略
  どのような事業で戦うのか
 〇事業の定義
・ どのような顧客層の
・ どのようなニーズに向けて
・ どのような技術に基づく商品、サービスを展開するのか
 〇事業ポートフォリオ
・ ドメイン(事業領域)の決定
・ 事業ポートフォリオバランスを図ること
 〇多角化によるシナジー効果、範囲の経済性(事業間の共有コストの削減)
 〇経営理念→ビジョン→戦略(ストラテジー)
 〇戦略策定の基本プロセスと要素
・ 第1ステップ:外部分析と内部分析
3C分析:市場分析(Customer)、自社分析(Company)、競合分析(Competitor)
         市場分析及び競合分析が外部分析に当たり、自社分析が内部分析に当たる
    ※補完企業(Complementor)を含めると4C
・ 第2ステップ:代替案創出のための詳細分析
状況の認識と検証されるべき仮説の作成
・経済性分析に関する定量的把握
・マーケティング上のメリットとデメリット
・意思決定後のシナリオ読みとリスクに関する判断
    コンティジェンシー・プラン(最悪の状況の対処法)の作成
◎全社戦略
 〇経営理念、ビジョン、ミッション
  経営理念、ビジョン、ミッションの役割
・企業の構成員の意欲を掻き立てる夢として機能する
・企業の構成員の行動規範をつくる
・事業における成功の鍵を明らかにする
  経営理念の浸透、強化方法
・ 事業を成功させることによる理念の徹底
ソニーの設立趣意書にある「他社のやらない技術で消費者の豊かな生活に寄与する製品を作り出すこと」というミッションを製品の成功による「成功の好循環」(グッドサイクル)により浸透
・ 公のメディアの利用
ソニーは上記の他に世界的注目度が高いことを利用し、メディア上でソニースピリッツを報道してもらった
・ 綱領や社歌の唱和、社内での訓話、社内報などの利用
松下電器での方法
 〇ドメイン(事業領域の決定)
   ドメインを決定する際には、顧客軸(市場軸)、技術軸(製品軸)に加え顧客に果たす機能(機能軸)によって定義する。
   ドメインは時とともに変化するので拡大・修正していくことが必要
JR西日本:鉄道から総合サービス企業へ
 〇コア・コンピタンス
   コア・コンピタンスの定義:顧客に対し、他社には真似のできない自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力(リソース・ベースド・ビュー:資源に基く戦略の見方)
  ・物流ネットワーク:ウォルマート→自前の倉庫群、物流網、情報システム網により「エブリデイロープライスを実現」
・事業に関する共通の価値観:ヒューレットパッカード→「HPウェイ」によりベンチャースピリットを失わず、闊達に行動する人材を活用する組織を作り上げている。
・ブランド:ナイキ
・新しい生産方式、流通方式:デルコンピューター→直販方式
 〇全社戦略とリーダーシップ
・リーダーの役割
 夢のあるビジョンの提示
 上記が実現可能であることを検証し、明示する
 組織の中でビジョンが実現されるように働きかける
 〇事業ポートフォリオ
  ・PPM(プロダクトポートフォリオマネージメント:BCGのポートフォリオ)
 「成長性が低い市場か否か」「マーケットシェアが高いか否か」から事業を以下の4つの象限に分類→ライフサイクルとマーケットシェアの価値が議論のポイントとなる
 象限の境目(軸の中央)
 市場成長率(縦軸):アメリカでは普通ROE10%とすることが多いが、日本では5%又はGNP成長率で区切る場合が多い
 相対市場シェア(横軸):1.0(倍)
 各象限の意味
  花形製品(Star):成長期の事業シェアが高く競争力があり会計上の利益はでるが、運転資金や設備投資によりキャッシュフローの観点では、大幅な資金創出は見込めない
  金のなる木(Cash Cow):成長性は次第に落ちていくがシェア、利益が高いうえ成長のための投資がそれほどかからないため潤沢なキャッシュフローが得られる。
  問題児(Question Mark又はPloblem Child):
市場が成長期にあるが自社のシェアが低い事業であり、一般的には収益性も低い。花形製品事業にするか負け犬事業にするかは、選択と集中により自社の財務状況に合わせた事業の絞込みが必要。
  負け犬(Dog):潔く撤退すべき事業。成長性の低い時期にシェアを増やすのは困難であるから。
 シェアの定義の重要性
   シェアの定義をする時は、全体市場で出すのか、セグメント別や国別シェアで出すのか、さらに、数量ベースでだすのか売上高ベースでだすのか。
 シェアの考え方
  トップ企業の場合:2位企業との市場占有率に対する自社の市場占有率の比率
  2位以下の企業の場合:トップ企業の市場占有率に対する自社の市場占有率の比率
  (例)1位:A社40% 2位:B社20% 3位:C社10%の場合
     A社:2.0倍 B社:0.5倍 C社:0.25倍
 円の面積の考え方
  円の面積が売上高(数量)に比例するようにする
  (例)A事業40億 B事業20億 C事業10億の場合
     A事業の半径:2.0cm B事業の半径:1.4cm C事業の半径:1cm
・GEのポートフォリオ
  「業界の魅力度」「事業単位の地位(自社の強み)」から9つの象限に分けている。弱点としては、評価に内部のデータを使うため他社との比較が困難、指標の取り方が主観的で信頼性にかけるなどがある。(主観的に指標をとるため経営者の意思が反映される)
軸の考え方
「業界の魅力度」:市場規模、市場成長率、産業の収益性、循環性、インフレへの対応、非アメリカ市場の重要性などから判断
「事業単位の地位(自社の強み)」:市場における地位(市場シェア)、競走上の優位、相対的収益率から判断
 〇事業拡大マトリックス
・ アンゾフのマトリックス(製品・市場マトリックス)
水平軸→新製品の展開:「何を提供するか」(Market、Customer)を変える
垂直軸→新市場の展開:「どこで戦うか」(Product)を変える
・ アーカーのマトリックス
アンゾフのマトリックスに加え第3軸にビジネス・システムの変更により成長方向を付け加えた:「どのように事業をするか」(Business System)を変える
〇成長の復讐と経営の再生
  過去の成功体験が次の成功を阻む

◎事業戦略
日本旅行の企画商品戦略→マス・マーケティング戦略
 今後は、セグメント・マーケティングをどのように行なっていくかが課題
 セグメント・マーケティングにより商品のラインナップを揃えていく際に規模の経済性を生かすことを考える必要がある。
[自動車メーカ-のトヨタの例]
 戦後:フォード生産方式によりマスマーケティング戦略を行なってきたが、GMのマーケティングを学びセグメント・マーケティングを行なって、顧客セグメント別にラインナップを揃えた。
→セグメント・マーケティングを行なうためにはラインナップを維持するために消耗戦を招きやすい。
SWOT分析
Strengths,Weakness,Opotunities,threats

〇競争戦略策定のためのフレームワーク
外部環境分析(業界分析):市場機会と脅威の発見
内部分析:自社の強気・弱気分析
バリューチェーンと事業変革
〇外部分析
●5つの力
   旅行業界の前提
    (業界内での競合企業)
      総合旅行会社としては、JTB、KNT、TKKの4社であるが、各セグメント毎に様々な競合企業が存在する。
    (新規参入者)
参入障壁が低いため、あらゆる業界から参入してくるが、団体販売から企画商品(パック旅行)やJR券・航空券などの単品類を扱っている「総合旅行」への参入はいくつかの制約があり難しく、新規参入者は一セグメントのみに参入する場合が多い。
・ 海外格安航空券:HIS
・ ビジネスホテル:旅の窓口
・ 出張手配:ハウスエージェント
・ リテーラー:流通系旅行会社
    (代替製品・サービス)
旅行は趣味娯楽の一種であり嗜好性の商品である。よって、旅行の代替えとしては、範囲は広く、プラズマビジョン、DVD、PCなどの電化製品から、PSなどのゲーム及び映画や音楽鑑賞などの趣味が考えられる。
     (売り手の交渉力)
      旅行会社のサプライヤーとしては、ホテル旅館などの宿泊施設や鉄道・航空機などの運輸機関などがあるが、旅行会社は、全国的な販売網を持たない旅館・ホテルについては強い交渉力はなく、旅行会社のほうが強い交渉力を持っていた。しかしながら、キャリア等の運輸機関については、外資系航空会社を除いては、JR・国内航空3社を見ても寡占状況であり、全体的にみると旅行会社の交渉力は強い。しかしながら、ホテルなどの宿泊施設についても系列化が進んでいるほか、インターネットなどの販売チャンネルが多様化しており、年々交渉力は強くなってきている。
     (買い手交渉力)
      競合が激しい事から旅行業における買い手競争力は非常に強く、値引きなどを行なう場合が多くなってきてる。

●アドバンテージマトリックス
   ・規模型事業(競争上の戦略変数少、優位性構築の可能性大)
     規模が大きい(シェアが高い)ほど高収益となる。
    →製品が単純で、差別化要因が少なく、しかも開発面、生産面、マーケティング面などで規模が効く場合にこの傾向は顕著になる。(成長期の素材や鉄鋼、自動車)
   ・特化型事業(競争上の戦略変数大、優位性構築の可能性大)
     規模が大きくても市場セグメンテーションを通じて異なる戦略がとれる場合は特化型事業となる。(分野毎に強いメーカーがいる場合:医薬品業界、計測機業界)特化するための主要な競争要因は2~5個の場合が多い。→旅行会社はこの業界か?
   ・分散型事業
     事実上大企業のいない業界:蕎麦屋やすし屋、アパレル→店舗経営者の資質が成功の鍵を握る
   ・手詰まり型事業
     構造不況業種→規模型事業からコスト格差がでなくなった鉄鋼業界など。
・業界構造の変化
    分散型→規模型→特化型
           →手詰まり型
    日本旅行は規模型からの変革を求められている。
〇内部分析
● バリューチェーン(付加価値連鎖):業界分析で成功要因を発見する場合に役立つ
支援活動:全般管理(インフラストラクチャー)・人事労務管理・研究開発・調達
主活動:購買物流・製造・出荷物流・販売マーケティング・サービス
● コスト推進要因(コストドライバー)
コストの振る舞い(コストビヘービア)に着目
→コストビヘービア分析(営業コスト分析、生産コスト分析、彼我分析(他社比較)等)
● BCGのバリューチェーンの再構築
・バリューチェーンの中でコストの割りに価値が低いところはどこか
・自社の事業は顧客バリューチェーンの一部か全部か
・自社の事業でネットワーク化によって影響を受けるのはどこか
・現在の戦略的資産のうち負債となるものはどれか
・どのような新しい活動、能力が必要になるか
● BCGのバリューチェーンの再構築からみたビジネスを創出するパターン
・一つの要素で支配的地位を確立する(レイヤーマスター)
強力なバイイングパワー:家電量販店:
特化型部品:キーエンス、ローム
・バリューチェーン全体のプロドユーサーになる(オーケストレーター)
部品メーカーの組織化・業務アウトソーシング:デル
顧客の購買代理店:ミスミ
・既存のチャンネルの弱みや欠陥をついて新市場を開拓する(マーケットメーカー)
リクルート:週間住宅情報(不動産屋に行かずに物件を選ぶことのできる市場を開拓)
オークネット:中古車映像の配信により広範囲で活発な取引を可能とした
・ナビゲーターになる(パーソナルエージェント)
ネット上の無数の情報を整理してくれるナビゲーターが購買代理店として必要となる。
〇戦略の基本パターン
 以下の戦略については、既存の事業を高い視点から見て再評価したり、うまくいかない原因を探り出すツールといして用いることが適切であり、事業戦略の詳細を決めるものではない
● ポーターの3つの基本戦略:競争優位を築く基本戦略
横軸で競争優位の源泉を低コストと差別化縦軸で競争の範囲を広いターゲットと狭いターゲットで区切り基本戦略を定めている。この戦略は、競合企業との比較の中で使用する。また、日本の優良メーカーはこれらの戦略を複数併せ持つ場合が多い。(キャノンは、技術力で差別化しながらコストリーダーシップをとっている)
・コスト面で優位に立つ→コストリーダーシップ戦略
    T型フォード、カシオ計算機、EOS1000
    →リスクは製品の陳腐化が挙げられる。
・差別化する→差別化戦略
    モスバーガー、ベンツ、スイスの高級腕時計などのブランド力
   →特異なポジションを獲得して高価格を実現する事。但し、マーケットシェアは特別高くない
・特定の領域に集中する(コスト集中、差別化集中)→集中戦略
    アドバンテージマトリックスの特化型事業と同じコンセプト(但しポーターは差別化と集中化は別の概念だとしている)
    特殊分野への集中:放送用音響機器、自動車用ステレオ
    地域への特化:地方銀行
    チャンネルへの特化:美容室でのシャンプー販売、通販用製品
● コトラーの競争上の地位とパターン
・リーダーの戦略→マーケットシェアの拡大若しくは維持
・チャレンジャーの戦略→シェアを奪う標的を定めシェアアップを挑む
・フォロワーの戦略→競合企業から反撃をうまない程度に経営成果を最大(コストを最小減にし利益を最大にする)にする戦略
・ニッチャー戦略→特化戦略(特定需要特化、垂直レベルでの特化、特定顧客向け特化、特定地域特化、特定製品特化、特定品質・価格特化、サービス特化等)

ハンバーガー:マクドナルド(リーダー)、モス(ニッチャー)、その他(フォロワー)
旅行業界:JTB(リーダー)、日旅・東急(フォロワー)、近ツー(チャレンジャー)、HIS・旅窓・阪急(ニッチャー)

● 事業のライフサイクルと戦略パターン
〇プロダクトライフサイクル:ライフサイクルに応じた市場の要請の変化を読み取る
 市場導入期:市場拡大
 成長期:市場浸透
 成熟期:シェア維持→競争が激化する中で、差別化戦略や価格戦略など明確な戦略が必要となる。
〇BCGダイヤモンド:事業のライフサイクルを経営戦略に重点をおいて表現したフレームワーク
 創造期:アイデアが多数でてきて、その一部が事業として確立される時期
 成長期:規模の拡大に応じマネージメントのノウハウをレベルアップさせる必要がある。創業に成功したオーナー企業の多くがこの段階で躓く。
 優位性確立期:成長に伴い、事業戦略はますます重要になってくる。競合上の優位性が構築されない限り市場の成熟に伴う競争激化により敗退していく。
 効率性追求期:ひとたび競争優位が確立できれば効率性を追求していく必要がある。この段階で培われる企業風土は。組織の硬直性、官僚化を伴う例が多く、環境変化が最大の脅威となる。→まさに日本旅行はこの状態である。

◎戦略的経営
〇ゼネラルマネージャーの役割
・戦略の策定
ミッション・長期ビジョンの理解→環境分析(内部分析、外部分析)→戦略目的の設定→戦略代替案の策定→最善の選択肢の決定→実行計画への落とし込み
・資源の動員と配分
戦略実行のための予算と人員の確保
・人材開発(人の採用、育成、解雇)
戦略の目的に従い人を採用、育成、解雇する
・組織作り
「組織形態は戦略に従う」といわれるように、戦略に従い組織を変更していく
・企業文化の形成(職場環境)
戦略を促進するような職場の意識や行動規範を形成していくことである。
・オペレーションの監督
日々の業務の進捗状況、成果の把握
 〇マネージメントサイクル
  管理サイクル、PDCAサイクル、PDSサイクル
   目標設定→実行→測定→評価→対策→目標設定
 〇ストラテジックプランニング
・ 企業全体の目標の伝達
・ 目標設定のプロセス
・ 本社における環境精査
・ マネージャーの焦点
・ 本社プランナーの役割
・ 計画と予算のリンク

場合分け
小企業
大企業
スタート時
年月を経た場合
企業全体の目標の伝達
明示的ではない
明示的ではない
明示的
目標設定のプロセス
トップダウン
ボトムアップ
交渉ベース
本社における環境精査
内容に入る
数値ベース
数値ベース
マネージャーの焦点
財務的
財務的
戦略的
本社プランナーの役割
分析者
触媒
調整者
計画と予算のリンク
緊密
ゆるい
緊密

〇組織を分析するフレームワーク
・ マッキンゼー7つのS
(3つのハードのS)
・Strategy(戦略)
会社の持続性のある競争優位の源泉は何か
会社にとっての戦略上の優先事項は何か
・Structure(組織)
基本的な組織形態はどうあるべきか
組織の集権(分権)の度合いは
組織の部門間の地位やパワーはどうなっているか
・System(社内の仕組み)
組織には必要な仕組みが備わっているか
経営陣が一番重視し利用しているマネージメントシステムは何か
(4つのソフトのS)
・Staff(人材)
採用と育成のやり方は
経営陣の特性は
どの部門に最も強いリーダーがいるか。弱い部門はどこか
・Skills(スキル)
会社が最も得意とする付加価値活動は何か
将来戦うために必要な新たなケーパビリティ(組織としての能力)は何か
何を捨てる(アンラーニング)ことが必要か
・Style(経営スタイル)
トップの意思決定のスタイルは(ボトムアップ対トップダウン、分析対経験、勘)
マネージャーの時間の使い方は(どこにいてどんな風に管理しているか)
・Shared Values(価値観)
企業の存在意義に関する共通認識はあるか
企業のビジョンはどうか
経営陣の関心のあり方は(短期対長期、社内対社外)
社員は自社の特徴をどう表現しているか
 〇変革のマネージメント
  変革のポイント
・トップの本気を知らしめる
・本年の議論を沸き起こす
・無制限の発想(ゼロベースの発想)を行なう
〇企業の経営成果を測る指標
5つの財務指標
ROE(自己資本純利益率)
 ROE=当期純利益/自己資本
ROA(総資産利益率=部門別に計算する際はROIとも呼ぶ)
 ROA=経常利益/総資産、若しくは=金利支払前経常利益/総資産
ROCE(使用資本利益率:Return on Capital Employed)
 ROCE=[支払い利息(1-t)+当期利益]/[有利子負債+自己資本]
 t=実行税率
EVA(経済的付加価値)
 EVAn=NOPATn-C*×Capitaln-1
EVAn:n年度のEVA
NOPATn(Net Operating Profit After Tax):n年度の営業利益×(1-実行税率)C*:資本コスト(WACCと同じ)
Capitaln-1:n年度の期初(つまりn-1年度末)のネット資産に投下されたキャッシュの総額で次の通りCapitaln-1=Σ(n-1)It I=(投資―減価償却)±運転資本の変化
IRR(内部収益率:Internal Rate of Return)
 CF0+=Σ(n)[CFt×(1/(1+r)t)]=0となるときr=IRR 
 r:ディスカウントキャッシュレート(割引率)
 CFt:t年度のキャッシュフロー
CFROI(投資資本キャッシュフロー比率)
 CFROI=キャッシュフロー/投資資本
 キャッシュフロー:フリーキャッシュフローを利用する場合と営業キャッシュフローを利用する場合があるが、前者では成長期にある企業ではCFROIが低くなってしまうので注意が必要である。

経営パワー大全―最強起業家に学ぶ、戦略と実行のマネジメント ジョセフ・H. ボイエット (著), ジミー・T. ボイエット (著), Joseph H. Boyett (原著), Jimmie T. Boyett (原著), 加登 豊 (翻訳), 大川 修二 (翻訳), 金井 寿宏 (翻


経営パワー大全―最強起業家に学ぶ、戦略と実行のマネジメント ジョセフ・H. ボイエット (著), ジミー・T. ボイエット (著), Joseph H. Boyett (原著), Jimmie T. Boyett (原著), 加登 豊 (翻訳), 大川 修二 (翻訳), 金井 寿宏 (翻訳)

平成16年10月10日
[経営パワー大全]
・ 「起業家として成功するには何が必要なのか」を最大級の成功者の体験から学ぶことが出来る本



◎第1章:あなたは起業家の器か
〇起業家の基本的要件
・ 失敗を受け入れる
・ 金銭を目的としない
・ 食らいついたら放さない。
・ 私生活を犠牲にする
・ 自分の思い描いたビジョンを固く信じる

◎第2章:完璧なアイデア
○アイデアに磨きをかける
・市場のニーズを満たすアイデアか
⇒アイデアがニーズを満たすことを確認せよ
・顧客の生の超えをもとにアイデアに修正を加えたか
⇒顧客の声に従え
・ユニークなアイデアか。既存ビジネスモデルに真の強化につながるアイデアか
⇒ユニークであれ。少なくともよりよきものであれ
・市場の特定の隙間に焦点を合わせたアイデアか
⇒1つの市場、もしくは1種類の製品・サービスに集中せよ
・他のベンチャー事業との組み合わせによって、成功の確率を高められるか
⇒他のベンチャー事業との相乗効果でアイデアを梃入れせよ
・画期的な資金調達法やジョイントベンチャーによってリスクを最小限に抑えることができるか
⇒リスクを最小化せよ
・他の資産を融資の担保とはせずにすむよう、借入時に交渉する
・他社とのジョイントベンチャーを通じて事業を発展させる
・逃げ道を準備しておく
・現実的に考えているか。アイデアに実効性がないとわかったとき、それを受け入れることができるか
⇒すぐにはあきらめるな。但し、いつまでも固執するな

○事業成功のための「ほぼ完璧な」6つの基盤
・知的財産として認められたアイデアや独自技術を持つ
・著しく優れた運営方法及び(若しくは)完璧を追求する決意
・市場へ最初に参入し、競合他社に先んじる
・弱者の利点を生かす-白兵戦を避けつつ、身軽さを武器に既存のより大きな競合他社に勝負を挑む
・一般的には弱みと思われている点を強みに変える
・人々に奉仕する-価値を導き手とする

2009年8月16日日曜日

デルタモデル―ネットワーク時代の戦略フレームワーク (単行本)アーノルド・C. ハックス (著), 二世,ディーン・L. ワイルド (著), Arnoldo C. Hax (原著), 2,Dean L. Wilde (原著), サイコムインターナショナル (翻訳)







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大前の頭脳 「産業突然死」時代を生き抜く知恵 大前 研一 (単行本(ソフトカバー) - 2009/7/9)







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世界経済はこう変わる (光文社新書) 小幡績 神谷秀樹 (新書 - 2009/5/15)










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なぜあなたはやらないのか―異端起業家になる (小学館文庫) 大前 研一 (文庫 - 2002/4)




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デジタル人本主義への道―経営の未来を見誤るな (日経ビジネス人文庫) (文庫) 伊丹 敬之 (著)







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資本主義崩壊の首謀者たち (集英社新書 489A) (新書) 広瀬 隆 (著)





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グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業 (幻冬舎新書) 夏野 剛 (著)


夏野 剛氏は、松永真理が書いた「iモード革命」で、名前が出てきてた時から注目していた。略歴を読むと1965年生まれなので、私の三つ上で、まだ若い。iモードで有名になった時は、1997年なので、わずか、32歳だったということだ。すごいが、若い人が新しいことを始める典型だなと思った

今回の本は、「インターネット技術は、ビジネスに利用できるツールでしかない」ということをわからせるために書いたようだ。
特に旧来企業に対する提言は、一勝九敗」や「デジタル人本主義」で書かれていることに通ずるものがある。私ももう41歳・・・。





【 】内はNTAへの提言

■日本のウェブビジネスはなぜ儲からないのか
①まずは、実店舗でやっていることから着手する。
 →【商品陳列、選択された商品に対する情報提供、お客様に合った商品のレコメンド】
②まず、登録させるサイトはだめ
 →【ゲスト予約機能の充実】
③一見とリピーターは対処を異にすべき 
 DMには美しい写真や美辞麗句を並べ、受け取った方が不愉快にならないように最大限の気を遣  うのに、メールマガジンは、担当者へマル投げして適当にニュースを並べるというのでは、お話にならない。
 →【メルマガ改革の実施(フォーカスする年代、内容の充実等)】
④ユーザーインターフェースを真剣に考える
 ユーザーインターフェースが命。サイトの設計をリアルの設計と同じくらい気を遣えばもっとうまく行く。
→【ユーザーチェックの実施、ユーザーインターフェースの先進会社への見学】
⑤ビジネスチャンスを損なう供給主義者ウェブサイトとしては失敗している例が多々見られる。
 情報をうまく「編集」できていないため情報を提供する
→【お客様の立場で、選択できるように】
⑥ウェブビジネスをリアルビジネスに合わせるという愚策
 同じ商品を対面販売とネット販売で同じ値段で、販売するという愚策。ネット販売の方が中間マージンが削れるはずなのに、ネットで安く販売すると対、面販売が困るからという理由で同じ値段をつけている場合が多い。
→【政策割引会社へのオール割引(ポイント付与)、ネット専用商品の増強】
⑦ネットだけの付加価値を追求すべし
 ネットの方が優位性がある商品を探すべし
→【携帯電話では、1万円以下の商品増と決算手段の多様化】
                     
■ウェブビジネスを成功させる鉄則
①寡占を引き起こしやすいネットビジネス
 寡占を引き起こす2つのパターン
 ・一番最初にサービスを開始して走り続け一番最初にクリティカルマスに達するパターン「先行逃げ切り型」(ヤフー)
 ・現在既に広まっているサービスに対して別の角度から徹底的に研究し、ユーザーに受け入れられる別のやり方を投入することで一気に抜き去る「後方追い抜き型」(グーグル、食べログ)
→【先行逃切型では、ほぼ無理。後方追い抜き型でトップを目指す】
②クリティカルマスの到達が安定をもたらす
ユーザーが多く集まるところにポジティブフィードバックが起こりやすい
→【トップをとれる商品、サービスに力を入れる。遊ぷらざと携帯ツアー】
③ネットは、参入障壁が低い為とにかく「スピード」が重要
 自分が一番になったら、兎に角走り続けるしかない。立ち止まると現在やっている内容が全部見えてしまい、自分たちの事業を真似された上に、プラスアルファの価値を追加されれば、ライバルが勝つのはたり前。
→【今以上に、戦略を作り、実行でき、トレースできる人材の育成】
④顧客リレーションの変化
 ・二八の法則からロングテールへの変化
 ・多種多様なユーザーの趣味嗜好にあわせた情報提供や特典、サービスの提供を行う「ONEtoONEマーケティング」ヘのシフト(レコメンドの浸透)
 ・反復購買系が、ネットショッピングに向く。
→【マイページ機能の充実(デザインの変更、レコメンド商品の変更、ゲームとの連携】
⑤ケータイとパソコン、ビジネスモデルに違いはない。商材によって違いがでる。

→【ワンクリックで予約できる商品の拡大】
■ウェブビジネスの未来
○ウェブ広告の未来
 ・今後のマス広告はテレビ、新聞、インターネットとなる
 ・ネット広告は、マスの面(リーチする人の数が多い)と雑誌のような個別性の双方を備えている。
 ・今後、ネット広告はよりカズタマイズされていき、より個人レベルでのアプローチへ進化を遂げる。
○仮想通貨について
 ・ウェブマネー、ビットキャッシュは、店舗毎に発行されるポイントと変わらないし、ユーザーへの付加価値も微々であった。
 ・電子マネー市場でも二八の法則は効いている。使えない人に合わせるな。

■旧来企業への提言
 ・ウェブとは、ビジネス戦線を勝ち抜くための武器である
 ・ポリシーなき経営者が会社を潰す
 ・権限と責任を与えて初めて生まれる、新しい付加価値
 ・多様性があるところで「和」は機能しない 
 ・ネットリテラシーの低い顧客にビジネスをあわせるな。



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経営思考の「補助線」 (単行本(ソフトカバー)) 御立 尚資 (著)


この本の著者である「御立 尚資」氏はボストンコンサルタントグループの日本代表である。内容は3部構成になっており「潮流そのものの中身」「潮流の変化のための積極的な対応策」「変化期を乗り切るためのリーダーシップのあり方」となっている。

中からいくつかのエピソードを取り出して見たい
■グローバリティからグローバリゼーションへ
 世界市場ではBRICsからたくさんのグローバル市場№1企業が現れている。それらに共通する特徴として、
 ・コスト優位継続へのこだわり
  コストへこだわるため、グローバルシェアの獲得を最重要目標とするほか、コスト削減をし続けている。
 ・人材確保
 インドと中国では年間150万人近くに達するほか、優秀な人材確保に全力を注いでいる。
 
■大量のデータを集めたCRM、でも結果がでないのはなぜ
 ・データ分析は仮説からはじめる
  ①データ獲得、②データ分析、③顧客への働きかけ
 の3つをする前に、まず仮説をたてること。
 ・買わなかったデータも獲得する
  「買った顧客の購買行動」以外にも「興味を持ったが買わなかった顧客の行動」や「自店舗以外の購買情報」も獲得する。
 ・消費者自身の興味と選択により組織化する
 消費者の興味に応じたクラブを設立する。会員組織の中に更にサブクラブをつくることで、CRMがより意味のあるものになる。

■それでもCMを見ますか
 ・広告料型モデルの変質が進む
  ①コンテンツとしてパワーを持つ広告の価値が相対的に高まる
  ②プレースメント型広告が増える。
  ③コンテンツビジネスとしての戦略の巧拙が、テレビビジネスの成功・失敗をはっきり分ける。

■環境変化への対応
 (進化の結果)新しい外部環境に合う特徴を有する種が生き残った。というダーウィンの自然選択肢は現在でも有力な理論として生き続いている。進化の原因にかかわらず「変化に適応した進化を遂げる」ということが、生物の系統として絶滅を避けるカギであることは確かということであろう。

■ビジネスモデルイノベーションの必要性
 クレイトン・クリステンセンが「イノベーションのジレンマ」で繰り返し指摘しているように、大成功した技術を有する企業ほど、次世代の破壊的技術革新の波に乗り遅れ凋落していく。

■ビジネスモデルイノベーションとは
 ・定義
  ビジネスモデルを単純化すると「価値提供の仕組み」「オペレーションの仕組み」からできている。
  この「価値提供」と「オペレーション」の仕組みの構成要素を変更し、自社の優位性を大きく強化することをビジネスモデルイノベーションと呼ぶ。
 ・三種類のイノベーション(→オープンコラボレーションに密接に関連)
  ①コストイノベーション
リナックス・ウィキペディアのようにオープンコラボレーションで作られた事業や製品・サービスはコストが圧倒的に低く、コスト面でのイノベーションを引き起こしている。
  ②生産性イノベーション
   日米の生産性の差格差の最大要因は、自社外、すなわち部品メーカーとオープンコラボレーションができたか否かだという。
  ③革新的な商品・サービスの創造
   異質の知恵、異業界の技術等々、異なるものの同士が ぶつかり、反応し、融合することで、新たなものが生み出される。

■津田梅子は6歳で米国に渡った。
 ・日本企業のグローバル化ステップ
  第1ステップ:海外販売の増加
  第2ステップ:海外生産の増加
  第3ステップ:海外株主の増加
  第4ステップ:経営チームの外国人比率増

■「極端な創造者」を生かすプロデューサー
 「成功している既存企業が、なかなか自らの技術・モデルを陳腐化させるイノベーションを生み出せない」という状況の中で、既存ビジネスのしがらみを振り切って新しい技術・モデルを生み出していくには、既存組織の指揮命令系統とは切り離したポジションたる「プロデューサー」の存在が有効になる。今間での組織体制から一歩離れた立ち位置にいることが、スペシャリストたちの創造性をビジネスに昇華するうえで役に立つわけだ。
 ①プロデューサーという機能を明確に認知し、自社なりの定義を行ったうえで、その重要性について、経営層で意思統一を行う。
 ②プロデューサー候補となる人材を洗い出し、経営レベルでの人事管理を行う。既存組織による囲い込みを行わせない。
 ③既存の組織から切り離した形で、重要なイノベーション案件について、結果責任をとるプロデューサーという働きを配置する。

※変化は最初はゆっくりでも、どこかで大きく急激に進み始める。









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一勝九敗 (新潮文庫) (文庫) 柳井 正 (著)


おもしろかった。
柳井哲学に共感した。
もっと若い時に、この本を読んでいたら、きっと、応募していただろうと思う。
人に厳しいが、自分にも厳しい。
この本は、ユニクロの成長の記録であり、内容が豊富である。また、文章もうまい。なかなか略してまとめられないので、是非とも読んでほしい一冊。

■まずは、会社の定義について、以下ように述べている。
 「会社とは、本来、常に実態がなく、非常に流動的で、永続しない可能性が強いものなのだ。そもそも最初にビジネスチャンスがあって、そこにヒトやモノ、カネという要素が集まってきて、会社組織という見えない形式を利用して経済活動が行われる。しかし、経営環境は常に変動する。当然のことながら、金儲けやビジネスチャンスが無くなることがある。そうすれば、会社はそこで消滅するか、別の形態や方策を求めて変身していかざるを得ない。会社とは一種のプロジェクト、権限のあるもの、と考えるべきではないだろうか。収益を上げられない会社を解散すべきともいえよう。(P.18)

■また、ワールドの時にも同じ言葉がでてきたが、当社でも実践すべき事柄として以下に述べる。
 従来の衣料品小売業界では、メーカーや卸業者の企画した商品を選択仕入(バイイング)し、委託販売する方式が一般的であった。委託販売方式は商品が売れ残れば返品可能で、小売業者にとってリスクが少ない反面、リスク回避の分だけ仕入れ原価に上乗せされるために粗利益は低い。(P.43)→その後SPAへ

■題名(一勝九敗)にもあるように、成功と失敗を繰り返しながらユニクロを大きくしてきた。彼は、「実行して失敗するのは分析ばかりしてぐずぐずしているよりよほどよい。失敗の経験は身につく学習効果として財産になる」。この中で述べられている成功の影に隠れがちな失敗の例をあげると
 ・NYデザイン子会社の失敗・・・NY現地のデザイナーと大阪・山口のデザイナーとのコミュニケーションがうまくとれてなかった。
 ・VM(ヴァンミニ)への出資・・・出資した後不正競争防止法で商標の差し止めをくらう。
 ・スポクロ、ファミクロ・・・
 ・ロンドン進出の失敗 ・・・経営トップの社長選択のミス。イギリス風の階級・階層を作ってしまいユニクロの文化と相容れなかった。更に、指示のひとつである「3年間で50店舗つくる」が一人歩きした。利益も出てないのに、拡大だけ進めた。
 更に、ここで述べられている以外の例として以下のものがある。
 ・食品事業の失敗
 ・ジーユーのダイエーへの進出

■一番いい会社の定義
 一番いい会社というのは、「社長の言っていることがそのとおりに行われない会社」ではないかと僕は思う。社長の言っていることを「すべて」真に受けて実行していたら、会社は間違いなく潰れる。表面的には社長の言うことを聞くのではなく、まずは社長が言いたいことの本質を理解すべきなのだ。現場では、自分なりにその本質を見極めどう具体化するかを考える。そして、実行する。これができる会社が本当に立派な会社である。
 表面的なあるいは形式的なことを重んじる、大会社は社長が言ったとおり、寸分たがわず実行している。それでは単なる帳尻あわせに過ぎない。それで失敗している会社が多いような気がする。もっと、社内で誰もが何でも発言できる雰囲気をつくることが必要だと思う。(P.106)
 革新的小売業であることはもちろんであるが、日本社会で持続してきた旧来の会社と個人の関係を根本的に変えることで、会社の発展と個人の幸福を同時に実現させたいと考えている。(P.109)


■企業家十戒
 ①ハードワーク、1日24時間仕事に集中する
 ②唯一絶対の評価者は、市場と顧客である
 ③長期ビジョン、計画、夢、理想を失わない
 ④現実を知る。その上で理想と目標を失わない。
 ⑤自分の未来は、自分で切り開く。他人ではなく、自分で自分の運命をコントロールする。
 ⑥時代や社会の変化に積極的に対応する。
 ⑦日常業務を最重視する。
 ⑧自分の商売に誰よりも高い目標と基準を持つ
 ⑨社員とのパートナーシップとチームワーク精神を持つ
 ⑩潰れない会社とする。一勝九敗で良いが、再起不能の失敗をしない。キャッシュが尽きればすべてが終わり。

■経営者十戒
 ①経営者は何がなんでも結果を出せ。
 ②経営者は明確な方針を出し、首尾一貫せよ。 
 ③経営者は高い理想を持ち、現実を直視せよ。
 ④経営者は常識にとらわれず、柔軟に対処せよ。
 ⑤経営者は誰よりも熱心に、自分の仕事をせよ。
 ⑥経営者は鬼にも仏にもなり、部下を徹底的に鍛え勇気づけよ。
 ⑦経営者はハエタタキにならず本質的な問題解決をせよ
 ⑧経営者はリスクを読みきり、果敢に挑戦せよ。
 ⑨経営者はビジョンを示し、将来をつかみとれ。
 ⑩経営者は素直な気持ちで、即実行せよ。

■ユニクロ経営理念
 第1条 顧客の要望に応え、顧客を創造する経営
 第2条 良いアイデアを実行し、世の中を動かし、社会を変革し、社会に貢献する経営
 第3条 いかなる企業の傘の中にも入らない自主独立の経営
 第4条 現実を直視し、時代に適応し、自ら能動的に変化する経営
 第5条 社員ひとりひとりが自活し、自省し、柔軟な組織の中で個人ひとりひとりの尊重とチームワークを最重視する経営
 第6条 世界中の才能を活用し、自社独自のIDを確立し、若者指示№1の商品・業態を開発する、真に国際化できる経営
 第7条 唯一、顧客との直接接点が商品と売場であることを徹底認識した、商品・売場中心の経営
 第8条 会社最適、全社員一致協力、全部門連動体制の経営
 第9条  スピード、やる気、革新、実行力の経営
 第10条  公明正大、信賞必罰、完全実力主義の経営
 第11条  管理能力の質的アップをし、無駄を徹底排除し、採算を常に考えた、高効率・高配分の経営
 第12条 成功・失敗の情報を具体的に徹底的に分析し、次の実行の参考にする経営
 第13条  積極的にチャレンジし、困難を、競争を回避しない経営
 第14条  プロ意識に徹して、実績で勝負して勝つ経営
 第15条  一貫性のある長期ビジョンを全員で共有し、正しいこと、小さいこと、基本を確実に行い、正しい方向で忍耐強く最後まで努力する経営
 第16条  商品そのものよりも企業姿勢を買ってもらう、感受性の鋭い、物事の面よりも本質を追求する経営
 第17条 いつもプラス発想し、先行投資し、未来に希望を持ち、活性化する経営 
 第18条  明確な目標、目的、コンセプトを全社、チーム、個人が持つ経営
 第19条  自社の事業、自分の仕事について最高レベルの倫理を要求する経営
 第20条  自分が自分に対しいて最大の批判者になり、自分の行動と姿勢を改革する自己改革力のある経営
 第21条 人種、国籍、年齢、男女等あらゆる差別をなくす経営
 第22条 相乗効果のある新規事業を開発し、その分野で№1になる経営
 第23条 仕事をするために組織があり、顧客の要望に応えるために社員、取引先がある事を徹底認識した壁のないプロジェクト主義の経営
 






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戦略シナリオのノウハウ・ドゥハウ (PHP文庫)HRインスティテュート (著), 野口 吉昭 (編集)






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2009年5月18日月曜日

ぐるなび―「No.1サイト」への道 (単行本) 滝 久雄 (著)


ぐるなびを読んだ。
たまたま図書館で、うろうろしていると目に留まった作品だ。
偶然ではあるが、ちょうど、遊ぷらざのビジネスモデルを考えていたところなので、何かの縁を感じる。
滝久雄もしくはぐるなびと言う名称は、営業先での打ち合わせでよく聞く名前であったが、当初は、NKB社の余力で行った事業がたまたまあたった感があったが、実は、滝社長が、全身全霊をこめてつくった事業であるというのがよくわかった。
成功した秘訣は、俺なりに考えると以下のように総括される。
①新しいビジネスを立ち上げたいと言う強い信念があった。
②IT革命を一時的なものではなく革命であるととらえていた。
③ビジネスモデルを当初から単純且つ明確に持っていた。
④ディテイルに拘った。(今日の情熱大陸で、紀里谷和明が出演していたが、ディテールへの取り組みがすごかった)
HOTPEPPARミラクルストーリーというのも見たが、一致する点と一致しない点があるので、まとめてみた。
<共通点>
○飲食業マーケットの需要(25兆円)を確認して、事業を創造している。
○単なる広告ではなく、ソリューションビジネスとしてとらえている。
<差異>
○ぐるなび:ネットのみに資源投入し、紙媒体は使っていない。
○HOTPEPPAR:紙媒体を主としながら、ネットに参入。
<数値面>
○はじめたばかりの時は、1社3000円/月の広告業
○4年で1万店・・・収支トントン→フェーズ2のAE営業へ(アカウントエクゼクティヴ)ソリューション営業
○フェーズ3は旅関連、海外外食関連業者取引、飲食店の経営支援)
※詳細は、事業報告書で確認のこと

2009年5月8日金曜日

納棺夫日記 (文春文庫) (文庫) 青木 新門 (著)


納棺夫日記を読んだ。
やっくんのような感動はなかったが、仏教世界のことがいろいろ書いてあってためになった。

MBAの基本が面白いほどわかる本 (知りたいことがすぐわかる) (単行本) 池上 重輔 (著)


サイコムの副読本として、読んだ。MBAの基本が簡単にまとめられており、携帯版としては読みやすく良い書物だと思う。
本社のポイントを復習がてら以下に述べると
<思考法>
○目標から逆算して必要なプロセスを考えよう。→逆算思考
○論理的に理解し、論理的に伝えよう(演繹法、帰納法)→論理思考
○全体感とディテールのスパイラル、仮説と検証のスパイラルで思考を進化させる。→スパイラル思考
<経営戦略策定の5つのコツ>
マクロ・切り口・競争・トレードオフ・定量化
<ポーターのポジショニング論>
低コスト戦略(コストリーダーシップ)・差別化戦略・集中戦略
<マーケティング>
ターゲット顧客を特定し、製品・価格・チャネル・コミュニケーションを最適化すること
・環境分析
 PEST・3C・SWOT
・標的市場を選定
 セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング
・4Pの最適化
<組織戦略のポイント>
・組織全体のバランス
・人の動機付けと刺激
・自分自身を知る
<リーダーシップの類型>
・指示的リーダーシップ
・説得的リーダーシップ
・相談的リーダーシップ
・委任的リーダーシップ
<ブランドマネジメント>
・ブランドの意義
 最低限の品質保証と満足度の向上
・一貫性
 製品サービスの一貫性・歴史を通じての一貫性・国をまたがる一貫性
 

2009年4月29日水曜日

英語をやっていて、本当によかった。―吉越流ビジネスマンのための英語塾 (WAC BUNKO) (新書) 吉越 浩一郎 (著)

吉越 浩一郎氏の本はこれで、「残業ゼロの仕事術」「残業ゼロの人生力」「ムダな仕事はもうやめよう」に続き4冊目だと思うが、読みやすいので、全て本屋で立ち読みしたため、手元には一冊も残っていない。
この本を読んだのも2週間前であるため、詳細は記憶していないが、概ね以下の事柄が書いてあったと思う。


○英語は、目的によって、勉強の仕方が変わってくる。
○英語ができても、交渉やコミュニケーションは別。
○生きた英語を使うには、やはりその国へ行って話すべし。

以上です   

グローバルリーダーの条件 (単行本) 大前 研一 船川 淳志 (著)


船川淳志氏は、以前グロービスの講師をやっており、また、NHKの語学番組でも司会をやっていた。語学番組ではビジネス英語を行っていたが、あまり教え方がうまい印象はなかった。
この本のテーマは、グローバルなをどのように作るのかというものである。ただ英語ができるだけでは、グローバルリーダーにはなれない。必要な交渉力を持っていないとだめだということであった。英語も、ただしゃべれるだけでなく、ニュアンスがわからないと交渉などはできないともあった。
 船川氏が、大前氏に憧れて海外に出て行った話がいくつかでてきていた。また、この本で、イチローの話が出てきていたが、イチローは基本をかかさず行うところが、大前氏が好きだそうだ。大前氏も毎日500の記事をスクラップしており、最新の情報に常に耳を研ぎ澄ましているとのことであった。地味であはるが、基本を続けるものが勝つようなことも書いてあった。
また、とりあえず、踏み出すことの大切さも説いてあった。踏み出すことにより、芸域を広げる重要性を学ぶことが必要である。
もう、私も今年で41である。一歩踏み出す勇気が欲しい。

実戦!問題解決法 (文庫) 大前 研一 (著), 斎藤 顕一 (著)

いわゆる「ロジカルシンキング」本である
ここでは、PSA=プロブレムソルビング・アプローチと言う名前で、ロジカルシンキングの考え方を示している。
内容的には、斉藤嘉則氏の問題解決プロフェッショナル「思考と技術」の方が良いが、「マッキンゼー式世界最強の問題解決テクニック」よりかは、日本的で良かったかなと言う程度。

ここに書いてあったPSAの3つの原則と3つのステップを以下に述べる
<原則>
①全ての問題は解決できるという強い信念を持て
②常に「what if~(もし~だったら、どう考え、どう行動するか)」と考えよ
③原因と現象を混同するな。(5割以上のウェートを持っている原因は1つだけ存在する)
<実践ステップ>
①足して100になる質問で問題の原因をあぶりだす
②問題の本質が見えてきたら仮設をたてる
③仮説を実証するためデータを収集し説明する

具体的なやり方についてはいかのとおり
問題解決の意味の理解→自社を取り巻く環境を理解する→情報を効果的に集める→データをチャート化し、考える→フレームワークで整理して理解度を高める。

○問題解決の意味
○自社を取り巻く環境の理解~要は何なのか~
 ※何か変化がないか、絶えず注視しながら情報は集めること
 ・バードアイからタイガースアイへ
 ・まずは全体を理解する
 ・市場全体と簡単に読み取れる分類項目で市場の細部を見てみる
 ・競争環境もどうなっているのか平均値(全体像)を押さえてみる。
 ・自分の会社の状況を押さえてみる
○情報を効果的に集める

(記入未了)

マネー力 (PHPビジネス新書) (新書) 大前 研一 (著)


副題は「資産運用を磨くのは今がチャンス」とある。
いつの時代も「今がチャンス」というが、どの時代もうまくやった場合のみ成功するわけで、うまくやらなければ、大失敗してしまう。
私が、投資を始めたのは2000年頃からで、今から考えれば、ITバブルの崩壊の頃であった。信用取引で年間10億円を動かしていたこともあったが、うまくやれば大金持ちであったはずなんに・・・。
ここに書いてあるのは、
 ・ライフスタイルを変える→ウィークエンド住宅の薦め
 ・アメリカと関係の薄い国を探せ→ロシア、ユーロ、ブラジル、カナダ、カザフスタン、ウクライナ
 ・それでも住宅は成長エンジン→街並みが大切
 ・マネー力に不可欠なITと英語→いつも大前研一が言っていること。三種の神器
 ・資産形成は、長期運用、分散投資が基本→長期運用資産を増やす必要がある・・・
いつものことだが、大前研一の本は、自分の未熟さを知らしめてくれ、勉強になる。

不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書) (新書) 河合 太介 (著), 高橋 克徳 (著), 永田 稔 (著)


副題は「なぜ社員同士で協力ができないのか」であった。
前から読みたいと思っていた本であったが、非常に興味深く読むことができた。
まさに、私が現在の職場に来て思うことであった。
例えば、前文にある会社の状況で当てはまることはというと
 ・何回頼んでも、誰もきちんと対応してくれない
 ・ランチタイムは社員同士ばかりつるんで、派遣社員やパート社員は蚊帳の外だ(社員と準社員が一緒にランチへ行くのを見たことがない)
・「おはよう」等の挨拶もなく。皆淡々と仕事をはじめる。
などが、当職場でもある事象だ。
原因として書いてあるのは、「成果主義と仕事の高度化がタコツボ化を進める」とのことであった。
仕事の定義を明確にしたため日本企業の特徴であった緩さが・遊びがなくなり社員間の壁を高くしていったとのことであったが、ある意味その通りであると思う。
ただ、一方で、成果主義等が進んだ国の企業全てが必ずしもそうであるということもないことから、企業文化の影響が大きいと思われる。
良い会社の例として、google、サイバーエージェント、ヨリタ歯科医院が上げられていたが、これらの企業に共通していると思われることは、仕事以外の共有の場の設定だ。よくコミュニケーションがとれた職場は、仕事以外でのコミュニケーションもよく取れていると思う。これらの企業がまさにそうであると思われる。
この本にある解決策「協力し合える組織をつくる」のポイントを最期に述べる。
 ・共有目標・価値観の共有化
 ・発言や参加の壁をつくらない
 ・特定の人にしかわからない状況をつくらない
 ・考えた異動と異動した人が損しない仕組みつくり
 ・インフォーマル活動の見直し。ポイントは面白いこと
 ・感謝、認知という重要性
これらのポイントに気をつけ、組織風土の改革をして行こう!

2009年3月8日日曜日

徹底抗戦 (単行本(ソフトカバー)) 堀江 貴文 (著)


堀エモンの徹底抗戦を読んだ。
全体的なトーンは、自分の正当性を展開しているが、いくつか論理が飛躍している点があった。
①仕事に没頭しているといっていたが、没頭していたとは思えない。好きなことをしていただけで、ゲームの延長線上だったと思う。
②投資家のため自分は我慢しているかのようなことを言っていたが、ライブドアが社会に与えた恩恵に比べ、30百万円という年収は高いのではないか。結局、何も社会に還元していないではないか。
③自分の事件のことも、検察が作り上げたようなことを言っていたが、社長である身であるから、社員が行ったことについてはある程度責任があるのではないか。罪の大小はよくわからないが、それなりの責任はあると思う。
○SBIの北尾社長の話もあったが、どっちを信じていいのやら。

2009年2月22日日曜日

超凡思考 (単行本) 岩瀬 大輔 (著), 伊藤 真 (著)


著者の一人である岩瀬さんは、ハーバードの上位5%に入りさらに、新しい保険会社を立ち上げた人であることで注目していた。
一昨日立ち読みで読んだこともあり、内容については、鮮明に覚えていないが、岩瀬さんは、いわゆる「ハイフライヤー」であり、達成動機が非常に高い人だということがよくわかる内容であった。
いわゆるハウツー本ではないということもあったが、覚えている範囲でのポイントを以下にあげる。
○ディテールにこだわる。
 人は大きな差はない。ディテールにこだわることで差ができる。
○すぐにやる
 思ったらすぐにやる。妥協しない。
後は覚えていない。残念ながら・・・                   

ビジネス三國志―マーケティングに活かす複合競争分析 (単行本)


石井先生の本なので手にとって見たが、あまりおもしろくなかった。
三国志にするため、無理やり鼎戦のような形をとっていたが、すーっと体に入ってこなかった。

この中で、読んだのは、ゲーム(任天堂wii)・ビール(サントリーモルツ)・モバイルPC(松下)の3編であったが、どれも、読み物としてはよかったが、従来以上に示唆しているものはなかった。

そのような中で以下にまとめると


○ゲーム
 米国のアタリ社(スティーブジョブスが最初に勤めた会社であったと思う)を任天堂のファミコンは、ソフトをコントロールし、質の低いものが出ないようにすることで、競争優位にたった。
 一方、ソニーのプレイステーションは、自社開発の半導体を使い、高性能のゲーム機を他社より速く市場投入することと、ソフト管理を緩やかにし、CD-ROM型のソフトとすることで、リードタイムを早める&在庫がでないようにすることによって、任天堂を追い越した。
 更に、任天堂はWiiの独自の操作機をつくることによって、高性能ではないが、プレイステーションを凌ぐ販売をあげた。

○ビール
 サントリーのプレミアムモルツは、独自の価格帯、ブランド戦略を行うことによって、一挙に販売拡大をなしとげた。

○モバイルPC
 モバイルPCは、最初IBMがでてき、その後ソニー、松下の順で述べてあったが、東芝がでてこないのが不思議であった。

こちらも内容をよく覚えていないため、よくわからない文章になってしまった・・・。

2009年2月8日日曜日

「知の衰退」からいかに脱出するか?(2008年1月 大前研一)


大前研一の最新号を読んだ。
内容的には、これまで読んだ本と重複している点が多かったが特に気づきをいくつか述べる。
○「武器は頭脳と心得よ」最初の命題だ。知識革命から言われている話で新しさはない。大前の言う頭脳とは、「考える力」であり、記憶力ではない。
○かねてから、大前のいう武器は、IT・英語・ファイナンスであり、これらは、大学の時にピカピカに磨いておくように言っている。
○個人的には、英語はオーストラリアで、ファイナンスはMBAで、ITは現部署で行っているがすべて中途半端。50までにすべてを洗いなおそう。
○そこで、再度今年の目標をIT・英語・ファイナンスで示そう
 ①IT
  ・ブログの開始・・・持続こそ力
  ・HP立ち上げ・・・ソースがある程度書けるように
  ・基本情報処理の合格・・・午後が要注意
 ②英語
  ・読む・・・英語の小説を読もう!
  ・書く・・・FACEBOOKに登録しよう!
  ・聞く・・・CNNを聞こう
 ③ファイナンス
  ・株から、為替へ
  ・お金はシビアに               
○21世紀のリーダーに必要な4つの資質・能力
 ①方向を示す  ②程度と方法を示す  ③具体的にやってみせる  ④できる人間をつれてくる。
○現代の教養は、クラシックや古典文学や絵画ではなく、「地球市民として何ができるか」が問われる。
 そのため、エスタブリッシュは、環境問題や貧困、差別等について質問をしてくる。

2009年1月25日日曜日

ドラッガーさんが教えてくれた経営のウソとホント(2004 酒井綱一郎)


特に目新しさはなかったが、未来学者、社会生態学者としてのドラッカーさんの言葉をもとに、経営の観点をわかりやすく描いていた。
○イノベーションは 
・認識の変化を理解すること。認識を変化させることで革新は生まれる。
・常識にとらわれないこと、科学的変革を促すこと、それこそがイノベーション
・壮大なものではなく、身近なもの
・一人の人間のひらめきだけで生み出されるのではなく、何人もの人間がバトンを渡して走る駅伝型の発明のほうが、より成功例が多い。
・オーストリア出身のヨーゼフ・シュンペーターはイノベーションを「企業家による新結合」と呼んだ。また、「企業家とは秩序を破壊し解体するもの」と定義している。
・イノベーションを引き起こしたアイデアの90%は内部ではなく外からもたらされている。
○ホンダの三現主義(現場、現物、現実)
○インターネットの技術革新は、グーテンベルグクが発明した印刷技術によるコスト削減の比ではない。(ドラッカー)
○日本が世界市場で最も競争力を持っていた製造業は、もはや成長産業ではなく成熟産業である。(ドラッカー)
○「テクノロジスト」とは、高度な専門技術や技能、知識を有する知的労働者のこと。(ドラッカー)
「テクノロジスト」は昇進よりも自分の専門を愛し、金銭的な動機付けでは動かない人達である。
インターネットの時代は部下が上司を教える時代にある。
○人口減少にどう対処し、人口減少をチャンスに切り替えられるかどうかが重要。
○15歳から64歳までの生産年齢人口は1995年の8716万人をピークに減少
○知の創造を生み出すのに最も大事なことは「対話」である。(野中郁次郎)
○信頼、すなわち追随する人たちがいること、それ以外の共通点は、私が出会った名指導者にはいない。(ドラッカー)
○カリスマは害をもたらす存在でしかなく、リーダーシップはカリスマに依存するものではない。(ドラッカー)
○仕事を進めるうえで最も大切ににしたいことは「自分探し」の時間を持つこと

MBAが会社を滅ぼす~マネージャーの正しい育て方(2006 H・ミンツバーグ:訳池村千秋)



米国を中心にして行われている実際のマネジメントと切り離されて行われているフルタイムのMBAを痛烈に批判した本である。表紙には「MANAGERA NOT MBAs」とあり、帯には、業績不振の命国企業のエグゼクティブでMBA取得者の比率は90%、業績好調の米国企業のエグゼクティブでMBA取得者の比率は55%と書いてある。ミンツバーグはマネージメントは、「クラフト(=経験)」、「アート(=直感)」、「サイエンス(=分析)」の3つが適度にブレンドしたものでなくてはならないと説いている。特に、計算型マネジメントとヒーロー型のマネジメントが実務に弊害を及ぼすとし、関与型マネジメントが良いと断言している。関与型マネジメントとは、「オフィスで部下と触れ合い、専用のオフィスにあまり引きこもらない。データを読むだけで良しとせず直接の印象を大事にし、自分が話すより他人の話に耳を傾け、椅子にどっかり腰掛けるのではなく協力し合う。こうした態度をとることにより、部下に主導権を持たせることを目指す。」ことをいうのである。
 そこで、マネージャーの正しい育て方論は、以下の8つの定石として書いてある。
定石①マネジメント教育の対象は、現役マネージャーに限定すべきである。
定石②教室では、マネージャーの経験を活用すべきである。
定石③優れた理論は、マネージャーが自分の経験を理解するのに役立つ
定石④理論に照らして経験をじっくり振り返ることが学習の中核をなす。
定石⑤コンピテンシーの共有は、マネージャーの仕事への意識を高めさせる。
定石⑥教室での省察だけでなく、組織に対する影響からも学ぶべきである。
定石⑦以上すべてを経験に基く省察のプロセスに織り込むべきである。
定石⑧カリキュラムの設計、指導は、柔軟なファシリテーション型に変える。

 幸いなことに神戸大のMBAは、上記を実践しており、私自身もこの本に書いてあることは納得できる内容であると思う。

男道 清原和博

「男道 清原和博」を読んだ。面白かった。文章がすごくうまかった。ゴーストライターが、相当いい作家なんだろうと思った。
 内容的には、ジャイアンツへの子供っぽい憧れを終始抱いた野球人生をつづっていたが、能力が高いがうえに、本当に泥水をすすっても、野球をやる気概があれば、王さんを超えられたかもしれないなと思った。

 一方、清原以上に感動させられたのは仰木監督である。すばらしい人である。野茂、イチローを育てたことからわかるように、個性を伸ばすことに長けた人で、死ぬ間際まで、清原を誘い、最期は、花道をつくった人である。こういう人に憧れる自分がいることをあらためて感じた。

 一方、この本の内容を仕事におきなおすと、清原も、小学校から高校まで、死ぬほどつらい練習をしてきたのだと思うが、その時代があったこそ、41歳まで野球ができたのだと思う。そういう意味では、仕事でも寝食を忘れ、打ち込む時期があれば、成就するのだと感じさせる一冊であった。

2009年1月19日月曜日

金融大崩壊「アメリカ金融帝国」の終焉(2008 水野和夫)

水野さんの本は、Mr.円である榊原氏が絶賛していたことと、年末の朝まで生テレビでのコメントに興味を持ち購入した。
 内容は、我々素人にも、データを用いわかりやすく説明してあり、読みやすい本であった。
○今回の金融危機は行き過ぎた新自由主義経済の崩壊である。
○大きな物語「資本・国家・国民」の一体は終焉した。
○そのため100年に一度の未曾有の大危機であることも確かである。
○アメリカは5年分の消費を先食いしたので、5年間消費は低迷する。
○基軸通貨としてのドルは終わる。アメリカは景気の下支えとして総額1兆ドルを超える支出をする可能性がでてきており、莫大な国債を発行するその国債を買うのは中国・中東・日本である。
→円高が今後5年間は進む。
○資本の向かう先は30億人が近代化し中産階級を形成しつつあるBRIC’sなどである。
○資本の向かう先の2つめは、脱化石化エネルギー

上記から読み取れる投資方針は以下である。
■BRIC’sは成長する。
■脱化石化エネルギー産業は成長する。
■今後5年間は円高ドル安になる。

2009年1月12日月曜日

自助論(サミュエル・スマイルズ 訳:竹内 均)

「天は自ら助くる者を助く」は、自助論冒頭にある有名な格言だ。
この本全てが、この格言にあるような論調で、語られているのだが、その中でも特に心にしみいる言葉を以下に述べる。

①骨身を惜しまず学び働く以外に、自分をみがき、知性を向上させ、ビジネスを向上する道はない。
②むしろ必要こそが発明の母であり、困難こそが偉大な成果を生むための真の学校であるといえるだろう。
③われわれを助けるのは偶然の力ではなく、確固とした目標に向かってねばり動く勤勉に歩んでいこうとする姿勢なのだ。
④われは道を探す。道なくば道をつくる。
⑤意思の力さえあれば、人は自分の決めた通りの目標を果たし、自分がかくありたいと思った通りの人間になることができる。
⑥どんなビジネスにもそれを効率よく運営するのに欠かせない原則が六つある。それは、注意力、勤勉、正確さ、手際のよさ、時間厳守、そして迅速さである。
⑦人生で一番価値ある努力は、現在のちっぽけな満足に安住せず、将来もっとすばらしい機会を得ようと励むことである。
⑧願望だけでは何事も成就しない。その欲求に明確な目標を与え、それに向けて努力すべきなのだ。
⑨世界を動かし社会の指導的地位に立つのは、天分に恵まれた人間ではなく、目標に向かってたゆまず着実に努力する人間である。
⑩行動でも思考でも反復こそが力である。習慣は第2の天性なのだ。