書評: 事業システム戦略―事業の仕組みと競争優位 (有斐閣アルマ) (単行本) 加護野 忠男 (著), 井上 達彦 (著)

2009年9月6日日曜日

事業システム戦略―事業の仕組みと競争優位 (有斐閣アルマ) (単行本) 加護野 忠男 (著), 井上 達彦 (著)


平成16年5月12日
[事業システム戦略]
◎序章
〇差別化・・・2つの差別化
  ・製品・サービスによる差別化:目立つ、わかり易い、華々しい成功、模倣しやすい、持続時間が短い
  ・事業の仕組みの差別化:目立たない、分かり難い、目立たない成功、模倣しにくい、持続する
 〇事業システム博物学
・ 事業システムの違い
-百貨店とスーパー:百貨店-返品 スーパー-売り切り
    -衣料品の例-ベネトン、日本編物:生成り生産後染め売れ筋の色を見極めて染色
-ファミリ-レストラン-セントラルキッチン、アルバイト・パートの利用
-住居-弓場建設:土地所有者にマンションを建設してもらう。
    安いマンション建設-コンクリートの建物を通常の2割増しでつくる工法の開発(通常5割増し)
      そのためには人件費の削減が必要-例:タイルを切断することなしにタイルの大きさにトイレをあわせる
    -引越しサービス-アート引越しセンター:電話帳の一番上に来るように「アート」とした(もとは寺田運送)
                       顧客である主婦の立場に立ったきめ細かいサービス
                       -荷造りサービス、運送中の殺虫サービス
                        最近では家具インテリアのカタログ販売
-エアコンなどは引越しのその日に取り付けができる
・TSUTAYA-POSにより販売ピークを逃さない
         本部が品揃えと棚割りを決定
         セントラルバイイング
・ 事業システムの静かな革命
   事業システム革命の背景
・既存の事業システムの寿命、成熟化
・情報通信技術の進化
・新しい事業システムの成立が他の事業システムに変化をもたらす
      -宅配便という小口高速輸送による部品や最終製品をめぐる事業システムの革命
・新しい事業システムをつくらないと顧客へ価値が提供できない
      -ゲーム業界:おもしろいソフトを継続的に供給する仕組み
・ 情報ネットワークの意味:情報ネットワーク技術を使いこなしこれまで提供できなかった事業システムを競争相手が容易に模倣できないものとして提供する事が重要

◎1章:事業システムの設計パラメーター
 〇基本設計
・ 事業の幅と深さの決定
   事業の幅:自社が手がける事業分野の選択
        松下-家電製品を網羅
        ソニー-ホームエレクトロニクス
   事業の深さ:職能(開発、調達、製造、販売)部分の選択
・ 社外との間にどのような関係を築くか
   社外でその都最も良い条件を出してくれた相手と取引-市場取引
   社内の一部門で活動を行い社内で取引をする-社内取引
 〇事業の仕組みの詳細決定
・ 誰がどの仕事を分担するか
・ 人々を真剣に働かせるようにするためのインセンティブ・システムの設計
・ 仕事の整合化のための情報の流れの設計
・ 仕事の遂行に必要な金の流れの設計
 〇事業システムの評価基準
・ 顧客にとって大きな価値があるかどうか-有効性
・ 類似の価値を提供する他のシステムと比べ効率が良いか-効率性
・ 競争相手にどれくらい模倣が難しいか-模倣性
・ 長期にわたり持続できるか-持続性
・ 発展の可能性をどれくらい持っているか-発展性

◎2章:事業システムの設計思想
  〇事業コンセプト
   「どのような顧客に」「どのような価値を」「いかに提供するか」
  〇コンセプトを設計するための地図
戦略的3C
・顧客(Customer)への価値
・競争業者(Competitor)との差別化
・自社(Corporation)の技術、資源
  (・自社を補完する業者(Complementor)を合わせれば4C)
〇ポーターの5つの競争要因
 業界の美味しさ度の見分け方
(下記の項目に当てはまるものが多い場合は競争が厳しく美味しさ度は低い)
・ 既存企業間の敵対関係
同業者が多い、業界の成長が遅い、固定コスト、在庫コストが高い、製品差別化がない、買い手をスイッチする費用が少ない、供給能力を微増させられない、競争業者間の戦略が多様である、成功すれば成果が大きい、退出障壁が高い
・ 新規参入の脅威
     既存企業による規模の経済の影響が少ない、製品の差別化の程度が低い、巨額の投資が必要とされない、供給業者をスイッチするコストが低い、流通チャネルを確保しやすい、規模とは無関係の不利はない、政府の政策(許認可、補助金)がない
・ 代替製品の脅威
   コストパフォーマンスが急速に向上している、代替品業界の利益水準が高い
・ 買い手の競争力
   買い手が集中している、自社製品が買い手のコスト要因となる、自社製品が標準品である、自社から他へスイッチするコストが低い、買い手の収益が低くコスト圧力が高い、供給される商品が重要ではない、買い手が充分な情報を持つ
・ 売り手の競争力
   寡占が進んでいる、代替品が市存在しない、売り手にとって重要な業界ではない、売り手の製品は重要である、売り手の製品の代替は見つけにくい、後方統合をする意思と能力がある
 〇VRIO分析
・ 資源の価値(Value)
その資源・能力があれば、事業機会を逃さず、脅威にうまく対応できるのか
・ 希少性(Rarity)
競争相手のうち何社が、その価値ある資源・能力を既に保有しているのか
・ 模倣可能性(Imitability)
その資源を持ってない企業がその資源を獲得・開発しようとするとコスト面で不利が生じるのか
・ 組織(Organizations)
資源・能力を充分に引き出し、活用するように企業は組織されているのか
 〇事業コンセプトの実例
・ アスクル
顧客「誰に」:SOHO事業主→大企業という潜在顧客を掘り起こす
価値「何を」:翌日配送→大企業の間接費削減という価値を派生させる
工夫「いかに」:既存の販売チャンネル(文具店)の利用・オリジナル商品の開発
コンセプトと設計思想:SOHOの事業主を対象に、翌日配送というサービスを宅配便の物流ネットワークを前提に、既存の販売チャンネルの長所を生かしながら提供する事
基本原理:受注機能/販売機能/代金回収機能(リスク負担)の分解→アンバンドリングとリバンドリング
・ (伝統的な)スーパーマーケット
顧客「誰に」:価格に敏感な人=家計をやりくりする主婦の店
価値「何を」:良い品をドンドン安く=特売をかけてついで買いを起こさす
工夫「いかに」:セントラルバイイング=店舗を担保にして直営店を増やし売上げ面積を拡大する。その購買力をいかして本部が一括して商品を安くいれる。
コンセプトと設計思想:並外れた購買力を背景に、安く仕入れて安く提供すること
基本原理:規模の経済性=一括購買
・ コンビニ
顧客「誰に」:学生や単身生活者など=時間を問わず便利さを求める人々
価値「何を」:ライフ・コンビニエンス=必要な時に必要なものがすぐ手に入る
工夫「いかに」:高回転の仕組み=POSシステム、共同配送、ドミナント方式、地域の資本と労働力の利用=フランチャイズシステム、仮説検証支援システム
コンセプトと設計思想:ライフコンビニエンスを実現する店(30坪のスペースに3000品目を品揃え)を一定の密度で出店し、高回転の商品補充システムによって、必要な時に筆よなものが手に入るという価値を提供する
基本原理:速度の経済性(高速回転の仕組み)、外部化の経済性(フランチャイズ)、範囲の経済性(店舗網の多重利用)

〇事業コンセプトを設計するために
・ 顧客に注目する
進んだ要求を持っている顧客=リードユーザー
リードユーザーは平均7年も早く要求に気づいている(MITの研究)
自動車のアンチロックブレーキ:航空機メーカーの雨の中で時速200KMで走っていても滑らずに止まるブレーキが欲しいと言うニーズから生まれた
・ リードユーザー間のインタラクション
松下電器のレッツノート:パソコン通信によるフォーラムの声を自社の改善や開発に生かした先駆的な事例
・ リードユーザーの声を取り込む仕組む(=ユーザー起点型事業システム)
開発の実績では、既存の大企業にとっては自ら推進するほどの市場規模に達しない事が多い。
プチ袋(携帯用の女性の生理用品入れ):30代女性の提案により蝶理が商品化の権利を獲得し、ヒット作となった。携帯用の女性の生理用品入れ
・ 優れた仕組みの取り込み
ワールド:コンビニエンスストア、レンタルビデオチェーンのCCCの仕組みを取り入れて新しい事業システムを構築した
     業務サイクルを四半期から週単位へ(ベネトンやギャップも同様の考え方)
     店頭での売れ行きを逐次把握する事により、売れる商品をリアルタイムで分析しどの商品を打ち切るか追加して生産すべきかを検討する。(セブンイレブンの仮説検証のサイクルの考得方)
     成功の要因分析を行いそれらを組み合わせ新しい別の企画を行なうことがワールドの独自性を持たらしている。→ある色の素材が支持されているとわかれば、今度は別の素材を別のデザインの服にして市場に投入する。これらの作業を週単位で行なう(この作業のベースはカテゴリーマネージメントである。海外のある下着メーカーの手法を洗練して培ったもの)
     シーズンのピークにはヒット作が必ず店頭にあるように計画を組む(ピークにあわせるというのはTYUTAYAのコンセプトに由来)
・ 自社の資源に注目する
一点集中:日東電工:粘着テープ周辺に特化→第3章参照
 深い能力(技術ノウハウ)を蓄積
仕組みとして最先端の方法を探す→第5章
・ 事業コンセプトのリファイン
3つのC(顧客、競争相手、自社)について自問自答を繰り返しながら良い環境ですぐれた事業システムを構築しなければならない
・ 事業の定義の必要性
JR東海:鉄道業→輸送業:航空会社が競争相手に浮かんでくる
ヤマハ→楽器の製造→教育や娯楽:塾やファミコンが競争相手として浮かんでくる
事業コンセプトは再定義していくもの
      
◎3章:事業システムの設計原理
    基本原理:規模の経済、速度の経済、範囲の経済、集中化と外部化の経済
 〇規模の経済
・ 規模の経済の源泉
生産でのメリット:固定費を分散させる事ができる
         売上げ規模の割りに少ない在庫で対応できる
         投資規模を上回る製造能力を作りやすい
購買でのメリット:大口購買によるコストダウン
・ 規模の経済の問題
ある点を境に規模の不経済が生じる。組織が大きくなることによる管理コストの増大等
たくさんつくってたくさん売ることの難しさ―不良在庫の発生等
 〇範囲の経済
   情報やノウハウを手に入れるために投資をし、そこから発生する固定費を様々な製品やサービスに分散して回収
  シャネル:香水からそのブランド力によりバックや衣類などに展開
アートコーポレーション:引越し直後に必要になるものを販売(エアコン等)
丸井:消費者金融に進出―顧客が何を買っているかという異質な情報を利用できるため事故率が低い
宅配便:本の販売、通信販売の代金回収
・ 組み合わせがもたらす価値(メリット)
組み合わせによって顧客価値を高めることができる
ロジスティック・システムの効率的な利用を図ることができる
情報や知識の多重利用ができる
 (情報の性質)自然に蓄積される
        何度も使える
        同じ情報を集めても意味が無く、異質な情報から価値が見出される
異質な情報を総合する事によって判断の質を高める事ができる
 〇速度の経済
  スピードをあげることによって得られる便益の総称
・ スピードのメリット
顧客価値を向上させることができる
 スピードそのものが顧客価値を高める
アスクル:翌日配送サービス
フェデラルエクスプレスやヤマト:スピードで顧客価値を高めている
投資効率を向上させることができる
 情報を利用して在庫回転率を高めるという効果
  ファルマ:少ない在庫で売れ筋商品をうまく回転
売れ残りロスを削減することができる
  売れ残り商品を少なくするためにスピーディーに配送するという事業システムを構築
商品転換が容易である
 商品実験を行ないやすい
 新商品の導入が容易である
 〇集中化と外部化の経済
・ 集中化のメリット
 自力で生きていかなければならないという緊張感が生みだされる
 独自能力(コンピタンス)を確立し、強化する事ができる
 村田製作所:チタン酸バリウムをベースにしたセラミックコンデンサー周辺に事業を集中
 厳しい要求をもった顧客から情報を自然に集めることができる
 明確な事業コンセプトを共有し、それにこだわることができる
 仕事のスピードを高める事ができる
・ 外部化のメリット(集中化と表裏一体の関係)
 市場原理をうまく使うことができる
 専門家の力を利用することができる
 企業の伸縮自在性を高めることができる
仕事をする人の意欲を高める事ができる
・ 集中化と外部化の問題
 集中化の弱点
急激な構造変化に対し弱い→多角化戦略
    CDの普及によるレコード針の存在
リスク回避:環境を注意深く見守る
        集中化をしながら狭い範囲で広さを持たせる。キーエンスや日東電工
 顧客が限定される
  限定された顧客に依存すると自分たちのコンセプトと合わない仕事までさせられる
  ヤマト運輸の三越百貨店の例
  キーエンスは取引先が売上高の10%を超えないようにしている
 〇基本原理の歴史的移り変わり
  低コストから柔軟性へ(スケールメリットからフレキシビリティへ)
   コンビニの棚はこれまでにない速度で入れ替わっている
   ファッショントレンドも週単位で見なければ予想できない
   IT関連の電子部品や半導体にしても何をどれだけ生産すればいいか見極めは難しい
  →対策:外部化をすすめ柔軟性を保つ(規模の経済から外部化の経済へ)
       例:派遣社員の活用
      スピーディに対応することにより長期の予測を不要にする(規模の経済から速度の経済へ)
       例:PCメーカ―のはラインを廃止しセル生産を採用(旧型商品が滞留するのを防ぐため)
  硬い統合から柔らかな調整へ
   硬い統合とは、自社の担当範囲を広げて内部化すること
   柔らかな調整とは、自社の担当範囲を絞り込んで外部の会社やグループ会社を利用すること
  
◎4章:事業システムの理論的枠組み
 〇事業システムの制御
  内からの制御:性善説に立つX理論→アメとムチを用い外からきちっと制御し管理した方がいい
   人間:仕事が嫌い 命令や処罰がないと仕事ができない 野心が無く責任を持ちたがらない
  外からの制御:性悪説に立つY理論→内発的な動機付けを促したほうがいい
   人間:仕事と遊びは同じくらい大切 自分でたてた目標には積極的に取り組む 報酬があれば目標に向かって努力を惜しまず 条件次第で進んで責任をとろうとする
  操作性の高い要因に対する外からの制御→操作性の低い要因に対するうちからの制御
 〇事業システムの分析の方法
  社会学的方法:人や社会の問題としてとらえるための方法
  自然学的方法:客観的にデータを収集して解析する方法
  事業システムの骨組みの設計(社会学的方法)→肉付けの設計(自然学的方法)
 〇事業システムの4つのアプローチ 

社会学的方法
自然学的方法
外からの制御
経済学的制度分析
・ 取引コスト
・ 比較制度分析
工学的分析
・ 活動依存性分析
・ ロジスティックス分析
内からの制御
社会学的制度分析
・ 経営理念
・ 組織文化
認知心理学的分析
・ 情報処理
・ 意味の発見
・ 経済学的制度分析
 制度:ゲームのルール(独占禁止法や委託販売返品制度等)
 ルール:契約に代表されるフォーマルなものと社会規範に代表されるインフォーマルなものがある
 取引コストアプローチ:取引コストを算定すればどこまで内部化すればいいか一つの答えが出せる
 比較制度分析:多様な仕組みレベルでの差別化を実現するメカニズムを説明するのに役立つ
・ 社会学的制度分析
 自己組織的にルールがつくられる制度化のプロセス
  電車の中で若者が高齢者に席を譲る例
   若者が「譲り」 高齢者が「お礼を言う」これは社会的マナー
 上記のような社会的マナーなどインフォーマルルールを行動規範や慣行として具現化されたものが社会的制度である。
セコム:現状打破、独自性
エクセレントカンパニー(ピーターズとウォーターマン)では強い文化を持った企業が好業績をあげていると言う主張がある
組織文化:マネージメントしにくい=操作性が低い
・ 内からの制御の長所
 外からの制御ではなしえない制御を実現:自分たちが自発的に受け止めて作ったルールであるから
 制御の柔軟性:原則を柔軟に解釈し適切に行動する
・ 社会工学的制度設計
ポーターの活動システムのマッピング→競争が穏かでしゅうえきをあげやすいポジションをとることが戦略の本質
事業システムを活動部分を要素として切り分けモノのように客体化させて分析する手法
    設計構造マトリックス
     行と列にそれぞれ諸活動を位置付け相互に依存している部分に×を付けるもの
     →相互の依存性をいかに切り離し、モジュール化していくか(分業のためのルール作り)
・ 認知心理学的制度設計
認知心理学とは、情報処理アプローチに基いて人間の認知過程や知識構造について研究する、モデル志向的な実験心理学
 〇問題解決のための設計手順
  外からの制御→内からの制御 全体における関係→個別の要素 という流れで事業システムを設計
  コンセプト作り→事業システムの骨格→肉付け→実践
・ 事業の基本についての分析
コンセプト作り「誰に・何を・いかに提供するか」:自社の資源と能力を確かめる必要がある
                       マーケティング論 資源ベース戦略論
    事業の定義→誰が競争相手かが決まる:事業ドメイン論やポーターの戦略論
    収益の構造:規模の経済、範囲の経済 速度の経済 集中化外部化の経済のうちどの経済を追求すべきか
・ 事業システムの骨組みの分析
自社の担当範囲の決定→範囲の経済ならば事業範囲を広げ、速度の経済なら深さをとり、集中化・外部化の経済なら幅も深さも狭める:取引コストアプローチ モジュール化
・ 事業システムの肉付けの設計
活動システムや構造的マトリックスを検討
インセンティブについてはフランチャイズ制
情報については実験計画法
モノ・カネについては掛け算足算化
・ 事業システムを実際に構築する行程表
事業システムを実行に移す

◎5章:事業システムの経済分析
 〇取引コストアプローチ:外部との取引に関るコストが問題となる
   取引コスト
・ 取引先を探すのにかかる探索費用
・ お互いに情報交換して取引を成立させるための交渉費用
・ 合意したとおりに取引が行なわれたかチェックする監視費用
・ 関係特殊的な投資に由来する費用
 取引コストが高ければ「内部」 取引コストが安ければ「外部」 またはその「中間的組織」
  内部化のデメリット
・ 十分なスケールメリットを追求しにくくなる
・ 内部化した部門が十分な知識を蓄えられず最適なサービスを受けられないかもしれない
・ 組織内の一部門にすることによって管理コストが高くなる
・ 取引が安定しすぎて競争原理が働かなくなる
解決例
・コンビニエンスストア
 ベンダ―を2社年競争させる(二社調達)⇔スケールメリットを犠牲
・取引の容の実際
社内取引
石川播磨島工業(技能者の内部化):ジェットエンジンの開発の鍵は高精度化と軽量化
         内部に職人のピラミッドをつくりそのデータをNC機(数値制御機)に数値化する
市場取引
中間的なかたち
松下電器:社内から部品を調達するが「忌避宣言権」があり、社外へ取引を切り替えることができる
芸者の置屋制度:料亭に属してしまうと芸を磨こうとする真剣さがなくなるため置屋に所属
相撲の部屋制度も内部の競争制度を取り入れている
 〇ゲームアプローチ
  価値の創造と分配にかかわるもの
・ 関係の継続性
囚人のジレンマ→繰り返しゲームになるとしっぺがえし戦略が有効
   継続関係のメリット
    相手を裏切ろうとするインセンティブが生じにくい
    信頼関係をきづきやすい
    お互いを良く知ることになる
・ 価値の創造と配分
 〇比較制度分析アプローチ
  システム設計の補完性と多様性にかかわるもの
・ 一つのシステム内の補完性とシステム戦略の補完性を前提
・ システムが安定するための均衡が複数あることが想定されとおりシステムの多様性を認めている
・ システムの進化は過去の経験によって制約されており経路依存的であると考える
・ ある均衡から別の均衡への移行は革命的におこなわれるより暫定的に行なわれるべきだと考える
・ 制度の補完性
   「オープン且つ密接な関係」「クローズ且つ多数の競争」はともに望ましい関係 
・ システムの多様性
アパレル業界:ユニクロ―規模の経済性 ワールド―速度の経済性
家庭用ゲーム機器業界:任天堂―ソフト会社を厳しく選定し内容を管理しながら開発
           ソニー―幅広くソフト会社に呼びかけ思い切ったソフト開発を奨励する

◎6章:事業システムの社会的分析
 〇理念の役割
  例:松下電器:水道哲学―万人に水のごとく安く豊富に製品を供給する
         産業報国―金儲けのためではなく社会生活の改善を目指し世界文化の発展に寄与すべき
 共存共栄―顧客はもちろん競争相手に迷惑をかけてはならない
・ 人々を動機付け理念的なインセンティブを与える
・ 判断基準を与える
・ コミュニケーションのベースとなる
 ・インクスの理念
  金型メーカーであるインクスの理念
・ 日本の金型産業に対する貢献
・ 労働市場における雇用の確保
携帯電話の金型は通常45日であるがインクスは5日
(理由)3次元CADの導入で技能者の養成期間が素人でできるようになった
    →人事システムがユニーク 80%は3ヶ月で辞めるが問題の無い仕組み作り
     コアメンバーは情報システム設計・開発や経営管理に専念
・ 収益性と社会性の両立
コープ神戸:収益性と社会性の両立をあきらめ、社会性が求められる時は社会性に関る理念を上手く引き出し、収益性が求められるときはそちらにシフトすることで成功
 〇組織文化
  
◎ 7章
◎ 8章
◎ 9章
◎ 10章

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