おもしろかった。
柳井哲学に共感した。
もっと若い時に、この本を読んでいたら、きっと、応募していただろうと思う。
人に厳しいが、自分にも厳しい。
この本は、ユニクロの成長の記録であり、内容が豊富である。また、文章もうまい。なかなか略してまとめられないので、是非とも読んでほしい一冊。
■まずは、会社の定義について、以下ように述べている。
「会社とは、本来、常に実態がなく、非常に流動的で、永続しない可能性が強いものなのだ。そもそも最初にビジネスチャンスがあって、そこにヒトやモノ、カネという要素が集まってきて、会社組織という見えない形式を利用して経済活動が行われる。しかし、経営環境は常に変動する。当然のことながら、金儲けやビジネスチャンスが無くなることがある。そうすれば、会社はそこで消滅するか、別の形態や方策を求めて変身していかざるを得ない。会社とは一種のプロジェクト、権限のあるもの、と考えるべきではないだろうか。収益を上げられない会社を解散すべきともいえよう。(P.18)
■また、ワールドの時にも同じ言葉がでてきたが、当社でも実践すべき事柄として以下に述べる。
従来の衣料品小売業界では、メーカーや卸業者の企画した商品を選択仕入(バイイング)し、委託販売する方式が一般的であった。委託販売方式は商品が売れ残れば返品可能で、小売業者にとってリスクが少ない反面、リスク回避の分だけ仕入れ原価に上乗せされるために粗利益は低い。(P.43)→その後SPAへ
■題名(一勝九敗)にもあるように、成功と失敗を繰り返しながらユニクロを大きくしてきた。彼は、「実行して失敗するのは分析ばかりしてぐずぐずしているよりよほどよい。失敗の経験は身につく学習効果として財産になる」。この中で述べられている成功の影に隠れがちな失敗の例をあげると
・NYデザイン子会社の失敗・・・NY現地のデザイナーと大阪・山口のデザイナーとのコミュニケーションがうまくとれてなかった。
・VM(ヴァンミニ)への出資・・・出資した後不正競争防止法で商標の差し止めをくらう。
・スポクロ、ファミクロ・・・
・ロンドン進出の失敗 ・・・経営トップの社長選択のミス。イギリス風の階級・階層を作ってしまいユニクロの文化と相容れなかった。更に、指示のひとつである「3年間で50店舗つくる」が一人歩きした。利益も出てないのに、拡大だけ進めた。
更に、ここで述べられている以外の例として以下のものがある。
・食品事業の失敗
・ジーユーのダイエーへの進出
■一番いい会社の定義
一番いい会社というのは、「社長の言っていることがそのとおりに行われない会社」ではないかと僕は思う。社長の言っていることを「すべて」真に受けて実行していたら、会社は間違いなく潰れる。表面的には社長の言うことを聞くのではなく、まずは社長が言いたいことの本質を理解すべきなのだ。現場では、自分なりにその本質を見極めどう具体化するかを考える。そして、実行する。これができる会社が本当に立派な会社である。
表面的なあるいは形式的なことを重んじる、大会社は社長が言ったとおり、寸分たがわず実行している。それでは単なる帳尻あわせに過ぎない。それで失敗している会社が多いような気がする。もっと、社内で誰もが何でも発言できる雰囲気をつくることが必要だと思う。(P.106)
革新的小売業であることはもちろんであるが、日本社会で持続してきた旧来の会社と個人の関係を根本的に変えることで、会社の発展と個人の幸福を同時に実現させたいと考えている。(P.109)
■企業家十戒
①ハードワーク、1日24時間仕事に集中する
②唯一絶対の評価者は、市場と顧客である
③長期ビジョン、計画、夢、理想を失わない
④現実を知る。その上で理想と目標を失わない。
⑤自分の未来は、自分で切り開く。他人ではなく、自分で自分の運命をコントロールする。
⑥時代や社会の変化に積極的に対応する。
⑦日常業務を最重視する。
⑧自分の商売に誰よりも高い目標と基準を持つ
⑨社員とのパートナーシップとチームワーク精神を持つ
⑩潰れない会社とする。一勝九敗で良いが、再起不能の失敗をしない。キャッシュが尽きればすべてが終わり。
■経営者十戒
①経営者は何がなんでも結果を出せ。
②経営者は明確な方針を出し、首尾一貫せよ。
③経営者は高い理想を持ち、現実を直視せよ。
④経営者は常識にとらわれず、柔軟に対処せよ。
⑤経営者は誰よりも熱心に、自分の仕事をせよ。
⑥経営者は鬼にも仏にもなり、部下を徹底的に鍛え勇気づけよ。
⑦経営者はハエタタキにならず本質的な問題解決をせよ
⑧経営者はリスクを読みきり、果敢に挑戦せよ。
⑨経営者はビジョンを示し、将来をつかみとれ。
⑩経営者は素直な気持ちで、即実行せよ。
■ユニクロ経営理念
第1条 顧客の要望に応え、顧客を創造する経営
第2条 良いアイデアを実行し、世の中を動かし、社会を変革し、社会に貢献する経営
第3条 いかなる企業の傘の中にも入らない自主独立の経営
第4条 現実を直視し、時代に適応し、自ら能動的に変化する経営
第5条 社員ひとりひとりが自活し、自省し、柔軟な組織の中で個人ひとりひとりの尊重とチームワークを最重視する経営
第6条 世界中の才能を活用し、自社独自のIDを確立し、若者指示№1の商品・業態を開発する、真に国際化できる経営
第7条 唯一、顧客との直接接点が商品と売場であることを徹底認識した、商品・売場中心の経営
第8条 会社最適、全社員一致協力、全部門連動体制の経営
第9条 スピード、やる気、革新、実行力の経営
第10条 公明正大、信賞必罰、完全実力主義の経営
第11条 管理能力の質的アップをし、無駄を徹底排除し、採算を常に考えた、高効率・高配分の経営
第12条 成功・失敗の情報を具体的に徹底的に分析し、次の実行の参考にする経営
第13条 積極的にチャレンジし、困難を、競争を回避しない経営
第14条 プロ意識に徹して、実績で勝負して勝つ経営
第15条 一貫性のある長期ビジョンを全員で共有し、正しいこと、小さいこと、基本を確実に行い、正しい方向で忍耐強く最後まで努力する経営
第16条 商品そのものよりも企業姿勢を買ってもらう、感受性の鋭い、物事の面よりも本質を追求する経営
第17条 いつもプラス発想し、先行投資し、未来に希望を持ち、活性化する経営
第18条 明確な目標、目的、コンセプトを全社、チーム、個人が持つ経営
第19条 自社の事業、自分の仕事について最高レベルの倫理を要求する経営
第20条 自分が自分に対しいて最大の批判者になり、自分の行動と姿勢を改革する自己改革力のある経営
第21条 人種、国籍、年齢、男女等あらゆる差別をなくす経営
第22条 相乗効果のある新規事業を開発し、その分野で№1になる経営
第23条 仕事をするために組織があり、顧客の要望に応えるために社員、取引先がある事を徹底認識した壁のないプロジェクト主義の経営
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